その犬の歩むところ (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 電子書籍サイトにおすすめされてた本、「その犬の歩むところ」。表紙の犬の寂しげな後ろ姿に惹きつけられて読みました。

    小説の舞台はアメリカ。
    田舎町のモーテルに保護された犬・ギヴ(GIV)。彼がこの物語の牽引役。

    物語の書き方として面白いのは、犬が牽引役(主人公?)、といっても、犬が1人称になるわけではなく、犬はあくまでも犬。その犬の周りで起こることを引きのカメラで映す感じで描かれていること。

    色々な事情で、犬は何人かの人の手に渡り、そして、この犬に関わってくれた人たちの、生き様と悲しみと愛情と善良さを見せてくれました。


    ハンガリー移民の女性、イラク戦争で心に傷を持ったままの若い兵士、2001年のアメリカ同時多発テロの悲しみや、2008年のハリケーン・カトリーナでの悲しい被害。

    人の心の中にある、数々の悲しい出来事が描き出されるのだけれど、そこに犬がいてくれるだけで、なんだかこの世に繋ぎ止めてもらえるような、そんな気がする物語でした。

    ハラハラさせる展開もありつつ、最後はちょっとほっとできる、いい物語でした。


    作者のボストン・テランさんは性別も公表されていない覆面作家なのだそうですね。犬の表紙のおかげで、また新しい作家さんに出会うことができました。
    この方の他の小説も読んでみようと思います。

  • 犬の忠誠心は素晴らしい。

  • 地獄を見ても善良さを失わないギヴという名の犬と傷ついた人間たちとアメリカの物語。生の強さ、儚さ。底からでも空を見あげられる不屈の精神。ボストン・テランは相変わらず詩人だ。路を疾走する旅で頬に風を受けた気がした。それを再体験したいという意味でも、濃密な作品なので拾いそびれたなにかがまだたくさんありそうだという意味でも、二度三度と読み返したくなる。

  • 絶賛の嵐だったので読んでみたんだけど、不思議な感覚だった。確かに感動的だとは思うし、評判になるのもわかるし、読後感もいいはずなんだけど、正直、あんまりノレなかったというか、合わなかったというか……。
    犬が、アメリカのさまざまな場所をさまよい、さまざまな傷ついた人々に出会い、助けられ、助ける、というような話で。
    とにかく文章が独特な感じ。一文が短くて詩のようなところもあったり、読みやすいとはいえないと思う。もってまわった感じもするし。
    謎はあるけれども、普通のミステリって感じではないし。
    なぜか宗教的な感じもした。運命だとか、善とか、命とか、生や死、そういうことを考えさせられるような。そういうなんとなく宗教的な感じが合わなかったのかなあ。。。奇跡、みたいな感じ。。。

    感動した、ものすごく泣いた、みたいな感想ばかり見るのだけれど……わたしの心が汚れているんでしょうかー。べつに犬好きじゃないからでしょうかー。いったいどうしたら。。。

    • niwatokoさん
      そうですよね、自分に合う合わないって絶対にありますよねー。感動している人たちは声が大きいから全員の意見みたいにきこえるけど、合わなかった人も...
      そうですよね、自分に合う合わないって絶対にありますよねー。感動している人たちは声が大きいから全員の意見みたいにきこえるけど、合わなかった人もきっといてそういう人たちは口に出さないだけじゃないかと思います。でも、これの読書会に申し込んじゃっていて、どうしよう。。。あるいは、読書会に出るとかって思うからなんか身構えてしまって楽しめなかったのかな?とかも思ったり。他の作品てどれかしら? おもしろかったら教えてください。作品によって感じも違うのかも。
      2017/06/25
    • meguyamaさん
      わたしが読んでいるのは『音もなく少女は』です。あー、私の場合、読書会で1人だけ良さがわからないときの孤独感、何度も経験しています。頑張れ!
      わたしが読んでいるのは『音もなく少女は』です。あー、私の場合、読書会で1人だけ良さがわからないときの孤独感、何度も経験しています。頑張れ!
      2017/06/25
    • niwatokoさん
      「音もなく少女は」も評判高いですよね。ありがとう。読書会・・・・頑張りますが、申し込んだの後悔してる(笑)。読書会ってやっぱりどう考えても向...
      「音もなく少女は」も評判高いですよね。ありがとう。読書会・・・・頑張りますが、申し込んだの後悔してる(笑)。読書会ってやっぱりどう考えても向いてないな。とかっていうのはまたいつか話しますねー。
      2017/06/25
  • 【犬を愛する人たちに捧げる人間の痛みと誇りの物語】その犬の名はギヴ。ひとり傷だらけで発見された彼の過去には、人々の悲しみがあった…。『音もなく少女は』の名匠が贈る感動の物語。

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著者プロフィール

ニューヨークのサウス・ブロンクス生れ。1999年、『神は銃弾』でデビュー。CWA賞最優秀新人賞を受賞し、本邦でも「このミステリーがすごい!」2002年版海外編で1位に輝く。以降、『死者を侮るなかれ』『凶器の貴公子』『音もなく少女は』などを発表。

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