幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」 [Kindle]
- ダイヤモンド社 (2017年6月14日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (279ページ)
感想・レビュー・書評
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この本の残酷な所は、
これから、個人が、
「好きなことで生きていく」「得意なことで生きていく」ことが、
「正しい生き方」であると、喝破している点だと思います。
少し前の、日本では、それらの価値観は、「正しくない生き方」とされ、
全否定されていました。強者以外は、それらの言葉を口にはできませんでした。
「そんな人生甘くないよ」、「もっと現実をみろ!」というのが、
その価値観を否定する、もっともスタンダードな言葉です。
しかし、ここ十数年で、
日本と日本人を取り巻く環境がガラリと変わってしまいました。
相変わらず、政府は、経済成長、経済成長と言っていますが、
成長できる資源は、日本は、どんどん減少しています。
多くの識者が指摘していますが、日本の国際競争力は、
もはやかなりの分野で、失われています。
これから、競争力をつけるといっても、その担い手である、
人材の絶対数が著しく減少します。
今の状態を維持するのも、やっとだと思います。
また、上場企業が倒産することは、珍しくなくなりました。
リストラは今や当たり前となり、組織に依存して生きるというのが、
かなりリスクな生き方になりました。
日本は、超高齢化社会+人口減少社会+少子化+労働者数の減少という
未曽有の社会に突入し、社会の様々なシステムが機能しなくなっています。
橘氏の一連の著作は、個人が経済的合理的に生きるには、
どうすればいいか、個人が国家や組織に依存せずに、
どう生きればいいかという視点で書かれたものが多いですが、
この著作では、個人の生き方をリスクヘッジする上での
最適化する「生き方」を述べています。
それが、自分の持っている資源(人間関係、能力、資産等)を、
「好きなこと生きていく」、「得意なことで生きていく」へ投入するというやり方です。これが、最も個人を最適化できる生き方です。
何かに依存することでしか安定を感じられない、そうでなければ、
不安になるというのが、
多くの日本人のメンタリティーです。
以前は、会社が豊かになれば、個人が豊かになりました。
今は、全くそうではありません。
それは、世帯収入を見ると、はっきりします。
94年比較で、2割以上収入が低くなっています。一方GDPは増加しています。
一生懸命努力してきましたが多くの日本人は、貧しくなりました。
今後は、もっとこの傾向が顕著に出てきます。
以前まで美徳とされていた人生観や労働観が、全く役に立たなくなっています。
それを認識する上で、橘氏の著作が一定の指示を受けるのは、非常に頷けます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分も仕事の幸福とは何か思い悩むことがあったが本作はそれが体系的に言語化されており悩みが解消できた。そもそも働き方の選択の自由のないサラリーマンがお金に困らない人生を送るためにはとにかく長く働き続けるほかない。にも関わらず日本の企業は終身雇用や年功序列、チームワーク主義を理由に自社でしか通用しない汎用的かつゼネラリスト的な役割を求めるためいつしか骨抜きにされてしまう。そのような環境下でも将来の転職を見据え自分の市場価値を保つためには少しでも日々得意な仕事に注力し、特化したスキルを養うべきだと思った。
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幸福の人生への戦略として、金融資産と人的資本と社会資本という3つの要素を使って解説しています。
この3つの要素を使って多くの人のパターンが分析できるのが面白く、例えば地方のマイルドヤンキーがこの3つの要素をどのようなバランスで持っているか、という話がわかりやすかったです。
その上で結論として現代で幸福を得るためにそれぞれの要素でどのような戦略を取るべきかという話に納得感があり、個人的には著者の方と感性が近かったのか、満足できる結論でした。 -
現代の幸福な人生への最適戦略がわかる
①経済的独立を実現すること
②好きな仕事で自己実現すること
③大切な人のごく小さな愛情空間を核にして、貨幣空間の弱いつながりで社会資本を構成すること
無理やろと思った人は一回読んでみてほしい
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実用的なフレームワーク。
ただし、資本•資産という考え方だけでなくそれを獲得するための活動までブレイクダウンして実践しなければ意味がない。 -
金融資本、人的資本、社会資本に整理され、分かりやすく、さまざまな文献から示される内容は、とても参考になった。
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いわゆるリア充、プア充から超充という完璧な人まで8つの人生パターンを見ていき、未来を決める金融資産、人的資本、社会資本の3つの資本の観点で、先が不透明な将来に向けてどう生きていくかを説いた本です。
本全体を通して、日本に関してはわたしより悲観的だという印象も持ちましたが、35歳や40歳にむけていかに幸福な人生に向かっていくかという意味で、知識社会に最適化した現実的な戦略案を知れたのは本当に大きかったです。