青野くんに触りたいから死にたい(1) (アフタヌーンコミックス) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
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感想 : 39
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  • 少女漫画は昔からホラーと相性がよく、「死と彼女と僕」など名作を数多く生み出してる。
    本作は少女漫画風の瞳の大きなキャラクターやリリカルな心理描写が特徴的で、少女漫画の系譜に入るのだろうが、素朴で可愛らしいタッチに騙されて読み進めると突然のホラー表現に冷や水を浴びせられる。
    「死んでしまった彼氏が幽霊として現れる」滑り出しはありがちだが、そこからの展開が定石を外した目新しさ。
    なんといっても主人公の優里がネジとんでる、というかぶっ壊れてる。
    この作品で一番怖い、あるいは狂ってるのはだれか問われたら幽霊や怪異をさしおいて名前を挙げたいほど。
    初めて男子に優しくされ妄想が止まらない→告白→彼氏になる→死んだ→彼氏にさわりたいから死のうという極端な思考回路もさることながら、彼居るが故に我在りな青野くんへの依存っぷりが凄まじい。
    いくら彼氏に触りたいからってあっさり死ぬか、後に遺される友達や家族はどうでもいいのかとツッコミどころ満載だが、元々友人はおらず、家庭にも根深い問題を抱えてるとあらば、青野くんへの矢印の大きさも頷ける。
    序盤は二人を中心にちょっと変わった恋愛ものになるかと思われたが、黒青野の存在や民俗学を盛り込んだ伝奇要素など、どんどんオカルト色が濃くなって先が読めない。
    自己犠牲的な性格が強く、なにかあればすぐ死にそうな主人公の危なっかしさも相まってハラハラドキドキが続く。
    ホラー面だけじゃなく、本作では人と人、人と人外のディスコミュニケーションを含む広範の人間関係がテーマとなる。
    恋人、友人、家族……
    本作に登場する対人関係はどれも機能不全に陥り、正常なコミュニケーションが成立しえない。
    優里の助っ人となる同級生はひきこもりで家から出れず、本来居場所であるはずの家庭は歪み、極め付けに彼氏は死んでる。しかし優里と青野は決してめげず、瑞々しくも初々しい試行錯誤に創意工夫を持って、なんとかコミュニケーションを図ろうとする。これは周囲も同様で、ディスコミュニケーションをコミュニケーションに繋げるために、それぞれが対話なり努力なりをする。
    この距離感の縮まりを丁寧に描写することによって自然と登場人物への愛着が湧くし、幸せになってほしくなる。
    好き嫌いが分かれる点として言及するのは下ネタの多さ。
    自分は耐性あるので楽しく読めたが、人によっては絵柄のギャップも作用して結構ドギツく感じるかもしれない。
    黒青野が優里に憑依するシーンなど、おそらく意図的な演出だろうが、わざと性行為を匂わすエロティックな描き方をしている。ピュアなだけの少女漫画に終わらず、それなりに性描写も盛り込まれている。この手の絵柄でキス以上はちょっと……という人は注意。

  • ちょっと思考が暴走気味の、でもそういう意味ではリアルにいそうな女子高生と、その恋人になったものの幽霊になってしまった少年とのラブコメディ?
    と思っていたらあれれちょっと怖いぞ。
    続きが気になるぞ。
    堀江さん可愛い。

    追加:各キャラの性格というかテンションや学校の雰囲気で、完全に中学生の話だと思い込んでたのですが、これ高校生なんですね…

  • ウェブ掲載をみて気になっていたのとKindleで無料だったので!ずぶずぶです。例えそれが呪いだとしても。

  • 絵柄は新人ということを考慮しても稚拙ではあるが感性が独特の一言。
    突如彼氏が幽霊になってしまい、その幽霊になった彼氏との交流を描いた漫画でジャンルとしては恋愛ものなはずなんだけど、ホラー、シュールギャグに読めてしまうとこがあって意図的に描いているのか気になる。
    どら焼きをむしゃむしゃと貪り食べる謎のシーンや「拳じゃなくて 口で言えよ ゴリラかよ」の諭す台詞がツボでした。
    恋は盲目で滑稽で狂気であることを表した漫画ですかね。

  • 漫画『青野くんに触りたいから死にたい』WEBで公開されている第1話を読んで、かなり面白かったので、Kindle化されたら購入しようと決めていた作品。

    あらすじをざっくり説明すると…、彼氏が死んでしまったことによるショックで自殺をしようとした主人公の前に幽霊となり戻ってきた彼氏。

    と奇妙な再開を果たす2人ですが彼氏が幽霊であるが故に生きている主人公には触ることができず、かくして彼氏に触りたいから死にたい主人公と幽霊の奇妙な恋人恋人生活がスタートする、ざっくりこんな話。

    抱きしめたくても触ることもできない2人が工夫を重ねお互いを感じられるように努力する様子が生々しく狂気的にピュアな恋物語です。

  • 作者の感性が鋭く、よくある心霊描写とのズレが面白い。

著者プロフィール

2014年『ボインちゃん』で「アフタヌーン四季賞2014 秋のコンテスト」四季賞受賞。
読み切り『セーラー服を燃やして』『崖際のワルツ』を発表(「good!アフタヌーン」2016年1号、2号に掲載)。
2016年12月より「アフタヌーン」で『青野くんに触りたいから死にたい』を連載開始。

「2023年 『青野くんに触りたいから死にたい(10)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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