料理の四面体 (中公文庫) [Kindle]

著者 :
  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • 料理の本質本。より正確に言えば調理の本質だろうか。調理には様々な方法があるが、突き詰めると「火」「油」「水」「空気」の4点から構成される四面体のどこかに位置するというのが、本書の主張である。これを読めば、料理とは素材と調理の組み合わせであるということが実感できる。

    4点から構成されると書いたが、それぞれはあまり厳密なものではない。例えば醗酵は普通に寝かせるタイプのものだと「空気」に分類されている。また、なにかの汁に浸すものは「水」に分類される。それくらいのざっくり具合で考えると、古今東西の様々な料理の共通点が見えてくるから面白い。本書の定義によれば、刺し身はサラダの一形態であるのだ。

    本書の主旨は以上なのだが、そこに行き着くまでに世界各国の料理が次々紹介される。そして材料を和風にしたらどうなるかなど、一つの料理から複数の料理が展開される。こうやって見ていくと、料理文化も実質1つしかないのではと思えてくる。まあ、人体構造と物理法則は同じなのだから当然と言えばそうなのだが。

  • 全世界に遍く有る料理を基本原理に照らし合わせて、単純な構造化し共通項の整理、料理の根幹となる所を発見できる本。
    筆者の体験を通して、全世界の料理に触れられたり、日常の身近な料理を振り返るきっかけになり、自炊のモチベーションが上がること間違いなし。

  • すっごい好き

  • 火を頂点にした空気、水、油の正四面体による料理の原理論。料理を要素に分解して考えるという所が面白い。

    材料をその四面体のいずれかの辺や面におけば一つの料理となるというのが著者の主張で(火と水は煮物の辺、火と空気は焼物、水と空気と油は生物の面、など)、そこに自分が好む味付けをすれば料理となる。

    この原理からすると、世界各国の料理も分解すると要素は同じものに行き着き、いくらでもアレンジが可能で無限にレシピが作れる。

  • 読み味が「おとなの週末」とか「dancyu」とかに似ている気がするけど、逆にみんなこの豊男さんの影響下にあるのかな。それとも食や料理について語るときは誰でもこういう感じになっちゃうとか?
    料理の四面体についての描写はもちろん面白いんだけど、そこに至るまでの各国の料理描写がたまらん。料理の知識や技量のある人が、ある程度腰を据えてその国に滞在しないとできないことよなあ。経歴見たらやっぱりすごくエリート様だった。テレビに出たりもしているようで、人々に愛される人柄でもあるんだろうなあ。って、読むとこ違うか。

  • 具体的な例を出しつつ、きちんと理論がどうなっているのか解説があり良い。ちゃんと日本と海外の文化の比較し、共通点と相違点を浮かび上がらせながら、シンプルで説明力があると思われる理屈が提示されている。

  • 料理が好きで な人にはめっちゃ刺さるだろうな

  • 【文章】
    とても読みやすい
    【ハマり】
     ★★★・・
    【気付き】
     ★★★★・

    料理の調理方法を因数分解していくと、火、水、油、空気の4つのパラメータに分けられる。

    同じパラメータでも具材が違えば別の料理になるし、また逆に、同じ具材でもパラメータが異なれば、別の料理になる。

  • これは、読み終える最後の段階でぐっと面白さが押し寄せた作品。
    序盤、面白さは散りばめられているものの、やや冗長さを覚えるような記述が多く、いつまで続くのだろうか、という気持ちになりながら読んでいる部分もあった。

    ただ、最終的に四面体の話が出てきて、豆腐などを例に話が進んだ時、突然面白さが吹き抜けた。そして、ローストや干物の話、煎ることや揚げることの話、煮ることや蒸すことの話が繋がって、ぐっときた。

    料理をそれなりに楽しんでいる人が新たな扉を開いて、料理の応用の幅を広げるのに良い一冊。四面体に辿り着くまでは辛抱強く読めるだけの根気は必要かも。

  • 料理って色々あるけど要は4つの要素の組み合わせだよねってことを例を挙げながら確定させていく本。
    炙ると焼くと炒めるって何が違うの? とか焼いてると素材から水気が出てくるから煮るになってるよねとか、言われてみればそうだなとい事実を積み上げて先にある料理のシンプルな姿が立ち現れるのが面白い。また、国による「料理をすること」の本質の違いや何を細分化するのか一緒くたにすのかといった差異に着目するところも楽しい。

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著者プロフィール

1945年東京都杉並区に生まれる。都立西高を経て東京大学フランス文学
科卒。在学中にサンケイスカラシップによりパリ大学言語学研究所に留学す
るも紛争による休講を利用して貧乏旅行に明け暮れ、ワインは毎日飲むもの
だということだけを学んで1970年に帰国。インバウンドツアーガイド、
海外旅行添乗員、通訳、翻訳を経て文筆業。1983年軽井沢に移住、
1991年から現在の地で農業をはじめる。1992年シャルドネとメル
ローを定植。2003年ヴィラデストワイナリーを立ち上げ果実酒製造免許
を取得、翌2004年より一般営業を開始する。2007年箱根に「玉村豊
男ライフアートミュージアム」開館。著書は『パリ 旅の雑学ノート』、『料
理の四面体』、『田園の快楽』など多数。近著に『隠居志願』、『旅の流儀』。
『千曲川ワインバレー| |新しい農業への視点』刊行以来、長野県と東御市
のワイン振興の仕事に専念してきたが、古稀になった今年からは、少しスタ
ンスを変えてワインバレーの未来を見渡していきたいと思っている。

「2016年 『ワインバレーを見渡して』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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