脳科学は人格を変えられるか? (文春文庫) [Kindle]

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  • 脳は可塑性がある、認知行動療法や瞑想で脳を変化させられるなど、結論として得られる情報としてはこれ系の本を読んでれば割と聞いたことのあるもの。
    とはいえサニーブレイン、レイニーブレインについての説明はなるほどと思うことも多かった。例えばポジティブシンキングとして「水が半分もある」は良い例としてよく挙げられる。しかし実際のところ夢を追いかけ続けても達成できない人もいるわけで、ポジティブに思ってるだけで何事もうまくいくわけないとは思っていた。その点本書はポジティブシンキングは重要ではなくポジティブな行動を起こす力が重要であると説明しており、非常に納得感があった。
    「人間は逃げるから恐怖を感じるのであり、恐怖を感じるから逃げるのでない」「感情を感じる力があると感情豊かになる」など直感的に思っていた因果関係と逆の説も多くあり、ものの見方の幅が広がる本だった。

  • 今年入ってだんだん抑鬱状態が解消されたのだが、要因の1つとしてこの本があると思う(決してこの本を読めば、鬱が治るなどということはない)
    理由として、自分が悲観的であったり、考え方で苦しむことがあるのは脳の機能が影響していると認識できたことがある。
    結果として自分は特別なにかおかしいわけでもなく、脳の傾向に沿っているとわかった。その上で、脳に支配され続けるのではない、自身を理解することにつながった様に思う。

  • 始めは1つの問題を解決するために読んでいたが、読了後は自分の悲観的な捉え方や注意のなさ、強迫行為といういくつもの問題を解決に導いてくれた。
    また、自分が脳タイプの何にあてはまるかを意識しながら読むことで自分の脳の構造を推測することができた。

    脳科学の書籍の中で一番求めていた内容だったので出会えてよかった。

    読んだ理由:
    何かを作業しているときに自分の意識が他の所に向きやすいため、周りに迷惑をかけやすい。解決方法を探るため、脳に関する本を読んだ。

  •  楽観的な人と悲観的な人は何が違うのか、その性格および行動が人生のあり方にどう影響するか、これらを脳科学の観点から考察している。ポイントは脳の可塑性つまり変化できる能力だ。昔は、脳細胞は大人になるともう増えないと言われていたがそうではなく、訓練や行動によって大人でも変化が起きる。このことは難しい人生を送っている人には福音となるだろう。

     恐怖や不安を感じて逃避行動を促すのは脳の古い(進化の初期段階から存在した)部分で、それを抑制する理性は新しい部分にあるため、一般的には前者の方が強い。そうでなくては生き残れなかったからだ。現在も脳内で両者は別の場所にあって影響しあっているが、結びつきの強さは人によって異なる。うまく恐怖を抑制できる人は楽観的になれるようだ。

     こういった議論が可能になった基盤として、人間の脳の活動がリアルタイム観察できる機械が増えたたことが挙げられる。人が何かを見たり考えたりしている時に脳のどの部分がどの程度活動しているか画像化できるのだ。

     本書ではトラウマ等を解消する治療法がいくつか紹介されているが、この分野もまだ今後大きく変化していくだろうから、個別の技術について一般人が覚える必要はなく、大事なのは治療が可能という事実だ。

     記憶や認知だけでなく感情と理性まで細胞レベルの活動に還元して理解できるようになったのは科学の進歩であるものの、どのように使うかと考えると少し怖くもある。将来はさらにSFじみた観察や働きかけもできるようになるかもしれない。

  • 豊富な心理学、精神医学等の実験例、実例を紹介しながら、将来脳科学は人格を変えられるだろうと思わせる本。
    物事を楽観的に捉える脳をサニー・ブレイン、悲観的に捉える脳をレイニー・ブレインと呼び、同じものを見ても脳の特定の部位が活発になる程度が違うことを示したり、幸福度とモノの見方には密接な関係があることを説明したり、脳神経細胞は大人になったらもう変わらないものではなく、可塑性に富むこと、遺伝子がすべてではなく、環境によって大きく変わりうること、とりわけ脳はモノの捉え方次第で、同じ環境であったとしても同じ影響を受けるとは限らないこと等を解説したりする。
    この手の話が好きな読者は、どこかで一度読んだ話のような気もするだろうが、読んだことのない人は実例も豊富で楽しめるのではないかと思う。

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