新装版 七回死んだ男 (講談社文庫) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 七回死んだ男
         西澤保彦
    どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう自分の祖父。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が辿りついた衝撃の解決策とは。
    1995年10月に講談社ノベルスから発行された、西澤保彦さんの第三作目の小説。新装改訂版が出ているので今ならそちらをお薦め。言わずもがなの普及の名作。最近流行りの特殊設定ミステリー(本書はSFミステリー何て呼ばれてます)ですが、約20年前にこの作品を出版するなんて天才としか言いようがありません。
    同じ日を9回繰り返す事ができる主人公久太郎、しかしながらその日がいつ来るのかは自分ではコントロールできない。突然繰り返す9回の日常それを久太郎は「反復落とし穴」と呼んでおり、オリジナルの初日(1日目)をベースに8回繰り返した後最後の9日目で起こった出来事が確定されて翌日に!(例えばたまたま進学校の受験日にその日が来た久太郎は何度も同じ試験を受けて合格)そんな久太郎が親戚一同が集まる年越し祝いの席で起きた祖父の殺人事件がたまたま「反復落とし穴」に引っ掛かった為、祖父をなんとか助けようとするのですが、何度繰り返しても、自身や他社の行動をいくら変えようとも祖父は死んでしまいます。一体なぜ・・・繰り返す度に祖父や、犯人、関係者の行動を把握、その対処に苦心するのですがそれでも結果は変わりません・・・そこには久太郎本人にも知り得なかった驚愕の真実が隠されていたのです・・・
    何度も同じ日を繰り返し人が〇にますが文体はポップで読みやすく、ハチャメチャドタバタコメディタッチで悲壮感がありません。時には同じ内容は省略してくれたり、意外と短い1日が有ったりとループ系が苦手な人でもストレスなく読めるのが本作の魅力!!早く次の1日を読みたいってなります。
    様々な伏線を把握し、久太郎と同じ日を何度も繰り返し、あなたが出会うその驚くべき大どんでん返しの結末とは・・・・
    迷わず読むべし!!

    うーーーん長時間考えた割にはイマイチな書評になってしまったけど5回目だからまっいっか・・・

  • 「反復世界に於ける殺人事件」を扱ったSF新本格ミステリ。1995年の作品。

    主人公、大庭久太郎(弱冠16歳)は、同じ日が何度も繰り返される現象= "反復落とし穴" に見舞われる特異体質の持ち主。「〝落とし穴〟のサイズはその日の夜中の十二時から次の夜中の十二時まで。つまりまる二十四時間。そして落っこちている期間は九日間」、「多い時には一ヵ月の間に十数回も落っこちるのだが少ない時は二ヵ月に一回といった具合」だ。なので、久太郎は精神的にはかなり老成している。

    正月に祖父の家に集まった親類一同。祖父は手広くレストラン経営を行う資産家で、正月のうちに遺言を書き換え、孫の一人を自分の後継者に指名するという(久太郎もその孫の一人だ)。色めき立つ娘達、孫達。そんな中で久太郎は "反復落とし穴" に落ちてしまい、1月2日を9回繰り返す羽目になる。が、2周目に祖父が殺されてしまい,以降、犯人とおぼしき親戚を何とか祖父に近づけないように画策するのだが、毎周異なる犯人によって祖父殺しが続いてしまう。

    財産相続を巡る親族間の醜い争いが赤裸々に描かれているが、ドタバタコメディなので深刻さはない。そして、ラストには思わぬ落ちが用意されていて、なるほどでと納得させられる。

    SFテイストは強くないが、ミステリとして秀作だと思った。

  • SF的設定とミステリを破綻なく組み合わせた物語の構成は見事。そして、文章も柔らかく読みやすい。
    ところどころ、丁寧語で話すはずのないキャラが丁寧語になってるのは、狼狽とかボケを表現してるのだろうか。単なるミスなのだろうか。よくわからなかった。

    能力者がもうひとりいて介入しているという予測は見事に外れた。

  • コメディ要素もありミステリー要素もありで楽しめました。
    読みやすかったです。

    同じ1日を何度も繰り返すのは面白そうだけどきっと実際に起きてしまうと想像以上に疲れるんだろうなぁとしみじみ思いました。
    特に変えたい何かがあると!

  • タイムリープもの
    シュタゲみたい
    強くてニューゲームはあこがれるがこの能力は...

  • ほんタメ!紹介作品がKindle Unlimitedに入ってたので読みました!
    種明かしからが痛快で読んでて気持ちよかった!確かにこれは一気に読んだ方が面白そう。
    しかしまぁ、主人公が設定上若年寄だから難しい言葉を使うもんで、Kindleで単語調べつつだから理解して読めたものの、紙媒体だったらちょっとだけハードだったかもなと思いました。

  • テンポが良くて楽しかった。最初から一緒にループしてる人がいるのを疑ってた。友里さんか?全員ってことはないよな?もう、アホかと…。

  • またまた、推薦者責任で20年ぶりに読み返しました。
    奇想天外な展開とところどころに散りばめられたユーモア。
    実は推理部分の重要個所を忘れていたため、そうだったそうだったと。
    新本格系でありながら、SFとの融合をみたこの当時斬新な作品だったことは間違いありません。

  • ある日突然、同じ日を9回繰り返す体質を持った主人公が、祖父の殺人を阻止すべく孤軍奮闘する物語。

    全体的にコメディタッチでなかなか面白い作品だったと思います☆1995年に書かれた作品なのでまあまあ女性蔑視を感じてしまう点が多々あるのが残念ですが、ライトノベルとしてはかなり良く出来た作品だと思いました。

  • 主人公が特定の日を9周ループする体質を持っているというあまりにもとっぴなSF的世界観なのにも関わらず、
    そのルールが序盤で丁寧に説明されてそのルール下で現実的に話が進んでいくので物語にすぐに入り込んでいくことができた。
    殺人事件の真相までは納得感があるな、くらいの感覚で読んでいたが、そこからの畳み掛けが衝撃的だった。

    評価点
    SF的世界観
    →まるでゲームをプレイしたりパズルを解いたりするような感覚になれて物語への興味を序盤から持たせてくれる。
    伏線回収
    →後出しがまるでない。明確に伏線として提示されている内容がきれいに回収され、回収時の説明も非常に丁寧。
     友里の心に決めた相手、二日酔いの心配、朦朧とした朝など物語の根幹にかかわる部分も明確に提示されており驚かされた。
    ミスリード
    →ルナが遺言の延期を知った理由はしてやられた。序盤の黄色いトレーナーの人影やイヤリングが落ちていた理由など
     多くの伏線が絡んできて特に盛り上がった。
    主人公
    →飄々とした性格や客観的思考が共感しやすくストレスがなかった。

    疑問点
    キャラクター
    →あまりにも倫理観に欠如して頑固な祖父と禁酒の約束を取り付けるシーンはあっさりに感じた。逆上してもおかしくない性格だとは思った。
     後日談では元の祖父に戻っているようにも見え、反省しているのかしていないのかよく分からなかった。
     よしおを除いてヒステリックな人間だらけ。そんなに瞬間湯沸かし器みたいな人間ばかり集まっているのか。
     血筋といえば血筋で片づけられるような気もするが。
     自分の考えとあまりにもかけ離れたキャラクターの行動原理に疑問を持ってしまうのは悪い癖かもしれない。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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