星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

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  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • まるで侵略戦争に対する抗戦のドキュメンタリー・ドラマを見ているよう。予想外の面白さ!地球が異星人の侵略を受けて播種船をばら撒き生き延びているはるかな未来の話なのに、家の制度だったり文化やしきたりメンタルなどが封建時代のそれのようで冒頭からしっくりこないなぁと思っていたら伏線でした。軍事用語もたくさん出てきてマニア向けですが、異星人が敵か味方かの識別から始まり、じっくりみっちり現場での対応を描いていくので臨場感があり背筋が氷ります。敵は宇宙の彼方からやってくるだけでなく、人類側の利害関係だったり腹の探り合いも並行して胃が痛くなる感じです。現実世界でも同じような事が起こっており現場はいかほどのものかと心がいたみます。言葉は通じるけれど話が通じないものほど厄介で宇宙人よりタチが悪い。人類しょうもな!と思いつつも織り込み済みで対処する準備と胆力は大事だな。年取ると胆力というか辛抱がなくなるなぁ。気をつけよ。

  • 私の大好きな作家のひとりであります林譲治氏の最新SFです。
    4000年前に地球を捨てた人類が新しい星系で恒星間飛行を完成(ワープポイントの発見)させ、版図を広げているとき、異星人の侵攻に合うという話です。
    いくつかの居住可能な星が人類の拠点になっているのですが、出雲というのが人類の首星のようなもので、侵攻を受けるのが、壱岐という星でかなり偏狭になります。そこでの星ごとの政治、外交の駆け引きや、敵は一体何か?というようないろいろと引っ張りこみ要素満載の作品です。
    とにかく、内政、外交の描写設定が緻密なのですが、架空戦記作家で書いた経験をかなりベースにしている部分があるかなと思います。兵站に対する考え方や、工業生産に対する考え方など、以前の自身で書いた架空戦記作品で描かれたものを再構成している感じです。
    異星人の正体は命を軽くみた攻撃方法からして、正体は薄々気づきましたし、伏線だなーと思っていた部分も気づきました。ただ、命を軽く考えている敵との抗戦は現代の非対称戦を想起させるもので、どう対応するのか興味あります。
    質量兵器の運用なども面白いです。
    ただ、工業規格に関する話は少しやりすぎかなーーと思うのです。
    少なくとも恒星間飛行をして、有力な一族が実力を握っている政治体制ならば、その点は工作機械の不ぞろいによる工業規格の不統一というのは、どうもい説得力に欠けました。これは架空戦記における太平洋戦争時の日本の工業体性から来ていると思うのですが、他の理由の方がよかったのではないかと思います。
    まあ、細かい点ではいろいろ気になる部分はありましたが、それは全体があまりに緻密なので目だってしまうということかもしれません。
    軍事、政治、宇宙からの侵略者という部分を緻密に書いていて、2巻が楽しみな作品です。

  • 読むのには骨が折れた。最終盤になって、やっと面白くなってきた。

  • シリーズの1冊目▲人類外の敵から種を残すために播種船により植民された五星系文明で、とうとう人類外の産物らしき無人衛星が発見される。主星系出雲と辺境星系壱岐の思惑違いがどう影響するのか▼降下猟兵のシャロン中隊長やマイマイ兵曹長の戦闘シーンが必見です!これを冒頭に持ってくれば良かったのでは?クライマックスで大いに盛り上がり、そのまま次巻を手に取ること必至なのですが!群像劇による設定話が長いので、喰いずらいところがありますが、魅力的な登場人物を眺めているだけでも楽しめます。隠し玉を想像しつつ次巻へ(2018年)

  • 西暦でいつかは分からないけど、太陽系ではない恒星系に植民した人類が異星人と接触してしまったっぽい、、という設定でスタート。

    ありがちと言えばありがちな設定だけど、出だしから妙に政治的駆け引きが多いところが、普通の宇宙系SFと違うところかも。

    あと、光速を超えるほどのテクノロジーがあるにも関わらず、AIの能力や生活様式が割と近未来的程度なもので、その辺のアンバランス感に違和感を感じつつも、無駄にスケールが大きすぎてディテールが浅いSFとは一線を画しているのかな、と思う(作者の個性)

    さて、これからどういった展開になるでしょう〜

  • 宇宙に広がった人類の
    異星人とのファーストコンタクトは。。。
    地味だけど、読むうちに味が出てくる。
    「ワールドトリガー」みたいな玄人志向かな。

  • 読了。宇宙戦争を兵站という切り口で描くシリーズの1巻。設定が命なので最初の方は会話が多いのと登場人物をあまり深く描写しないので覚えにくかったが、後半の盛り上がりはかなり良かった。そして続きが気になるヒキで終わる。

  • なんで3日間かかるんだ。

    前々から「兵站」が気になっていた一編。

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著者プロフィール

林 譲治(はやし・じょうじ)
1962年、北海道生まれ。ナイキミサイル基地訴訟で揺れ、千歳基地が隣接するという環境で育ったため、
幼い頃より軍事や防衛問題に関心を抱く。戦略シミュレーションの原案などで活躍後、作家デビュー。
確かな歴史観に裏打ちされた作品で人気を集める。
著書は『戦艦大和航空隊』『異邦戦艦、鋼鉄の凱歌』『新生八八機動部隊』(以上小社刊)、
『帝国電撃航空隊』『超武装戦闘機隊』(電波社)、『星系出雲の兵站』(早川書房)など多数。

「2020年 『技術要塞戦艦大和 (3) 珊瑚海海戦!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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