君は薔薇よりかぐわしい 変態調香師の愛弟子になりました【初回限定SS・電子限定SS付】【イラスト付】 (フェアリーキス) [Kindle]

著者 : 鳴澤うた

制作 : Ｓｈａｂｏｎ 

• ジュリアンパブリッシング (2018年8月27日発売)

感想・レビュー・書評

[sakuraさんの感想 · 2018年9月23日]

Kindle版読了。

野生の薔薇を原料とした特産品や酪農で生計を立てている山間部にある小さな領地を治める男爵家の働き者で優しい17歳令嬢ヒロインと、ヒロインの匂いに一かぎ惚れした新領主で天才調合師でもある23歳伯爵ヒーローとの香りから始まるラブストーリーです。

「一かぎで恋に落ちました」

ヒロインは山間にある小さな領地を治める男爵令嬢ですが、村人達と一緒に働く真面目で優しい娘さんです。
そんなある日、祭りの日に出会った新領主の伯爵ヒーローにヒロインの匂いを気に入られ、突然求婚されます。
最初はヒーローの変態的な行動に引きまくっていたヒロインでしたが、天才調合師であるヒーローの助手になって調合について学んでいく内に、領主として真剣に村の発展を考えてくれていたり、ヒーローの人となりや過去を知り、いつしか男性として惹かれている事に気付くのでした。

…ヒーロー視点もあるので、並み外れた嗅覚で子供の頃に父親の「死」の匂いを嗅ぎ取り、兄から「死神」呼ばわりされた事がトラウマとなっていて、今もヒーローの心に陰を落としている事が分かります。

ヒロインとヒーローが恋人になる迄の前半は、ヒーローの変態的行動にヒロインが引きまくるというラブコメ展開でしたが、王妃がお忍びで村を訪れヒーローを憎むヒーロー兄も登場しヒロインも命を狙われるという盛り沢山だった後半は、一気にシリアス展開となってしまい前半との温度差が激しかったなーと思いました。(^_^;)

ラストは、ようやく安住の地と幸せを見つけたヒーローが、全てを受け入れて包み込んでくれる聖母のような（温室で危機一髪だった時は渾身のグーパンをヒーローの顔と腹にお見舞いしていましたが）ヒロインと結婚式を挙げてハッピーエンドで終わります。

フェアリーキスピュアは少女小説という事で、初夜のシーンが描かれなかったのは非常に残念でした（笑）。

著者プロフィール

神奈川県在住。2008年よりwebにて小説を発表。2013年に「竜の紅石＊執愛に揺れて」で出版デビューに至る。中世ヨーロッパ関係の本を買い漁り、読んで世界観に浸るのが趣味。

「2017年 『竜の専属紅茶師』 で使われていた紹介文から引用しています。」