ウインド・リバー [DVD]

監督 : テイラー・シェリダン 
出演 : ジェレミー・レナー  エリザベス・オルセン  ジョン・バーンサル 
  • Happinet
3.79
  • (37)
  • (65)
  • (53)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 284
感想 : 66
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953211674

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2018年日本公開作品。面白かったとコメントして良いのかわからないです。軽いものではなく、とても興味深い考えさせる作品です。アメリカという自由と夢の国という明るく肯定的なイメージと真逆な重く暗い部分を全面に押し出している内容です。アメリカの負のイメージは、黒人差別。ネイティブアメリカンに対する差別も聞いたことはありましたが、想像を超えていました。悲しい最後を遂げた少女。なぜ、そうなったのかを追う女性FBI捜査官・自分の娘も悲しい最後を遂げたハンター。2人とも熱演です。特にハンター、悲しみから逃げずに立ち向かう姿に感銘を受けます。背景の雪に閉ざされた大地・青い空が印象的です。胸に残る引っかかる作品です。

    • yhyby940さん
      ひる子さん、コメントありがとうございます。交通事故に遭われたとのこと、大変ですね。大怪我ではないですか。お大事になさってくださいね。アメリカ...
      ひる子さん、コメントありがとうございます。交通事故に遭われたとのこと、大変ですね。大怪我ではないですか。お大事になさってくださいね。アメリカンヒストリーX、拝見します。一日も早い回復をお祈りしています。
      2022/11/26
    • ひる子さん
      お見舞いのお言葉ありがとうございます!
      運悪く轢かれてしまい大怪我でしたが、運良く脊髄は無事でした!
      リハビリ頑張ります。
      また感想楽しみに...
      お見舞いのお言葉ありがとうございます!
      運悪く轢かれてしまい大怪我でしたが、運良く脊髄は無事でした!
      リハビリ頑張ります。
      また感想楽しみにしていますねー(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)♡
      2022/11/26
    • yhyby940さん
      またコメント頂けたら嬉しいです。
      またコメント頂けたら嬉しいです。
      2022/11/26
  • 広々とした平原と森は深い雪をかぶり、晴れた夜空には煌々と輝く月が浮かぶ。誰しも美しい景色と思うだろう。しかし、住めば「この土地は凍った地獄だ。あるのは雪と静寂だ」という希望のない世界だと知る。この町の住人は強制的に連れてこられたネイティブだ。殺されたナタリーは頭が良くても未来はない。彼女に罪があるとするなら、外に出ることを渇望したということだ。アメリカは今も冷酷な人種差別主義者の国という別の顔を持っている。

  • ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『ボーダーライン』の脚本家として知られるテイラー・シェリダンが、初めて自ら監督した(もちろん脚本も)映画。

    『ボーダーライン』がそうであったように、これも暗く重い映画だ。

    本作のヒロイン――FBIの新人女性捜査官を演じるエリザベス・オルセンは、『ボーダーライン』のヒロイン(エミリー・ブラント)とオーバーラップする。
    どちらも「陽の当たるアメリカ」からやってきた異邦人であり、アメリカ社会の闇を目の当たりにして愕然とする役回りなのだ。

    この映画で描かれるアメリカの暗部は、「リザベーション」――先住民(ネイティヴ・アメリカン)居留地の無残な現実だ。

    「ウインド・リバー」とは、ワイオミング州の雪深い山間地に作られたリザベーションの名。そこで、先住民の娘・エミリーが、雪の荒野で遺体となって発見される。
    エミリーは裸足で、足には凍傷。死因は、氷点下30℃の中を走ったことによって肺が凍りついて破裂したことだった。
    なぜ、彼女はそのような死に方をしなければならなかったのか? 派遣されたFBI捜査官が、地元のハンターであるコリー(ジェレミー・レナー)と協力して謎を解いていく。その果てに、リザベーションの荒涼たる現実が浮かび上がる。

    先住民女性と結婚したコリーの娘はエミリーの親友だったが、3年前、同じように荒野で遺体として発見された。その事件は、いまだ解決されていない。
    リザベーションの息苦しい人間関係をタテ糸に、事件の謎解きをヨコ糸にして、やりきれない悲劇が紡ぎ出されていく。

    コリーのハンターとしての技量・経験を駆動力とした、アクション映画としてもよくできている。終盤の銃撃戦の迫力もすごい。だが、エンタメと呼ぶにはあまりにヘビーな物語た。
    テイラー・シェリダンが作る物語には、人間の暴力性の根源に迫るような凄みがある。

    それでも、雪山の風景は美しく、深い余韻を残す傑作である。カンヌ映画祭で「ある視点」部門の監督賞を得たのもうなずける。

  • WIND RIVER
    2017年 アメリカ 107分
    監督:テイラー・シェリダン
    出演:ジェレミー・レナー/エリザベス・オルセン
    http://wind-river.jp/

    ワイオミング州にあるネイティブアメリカンの保留地「ウインド・リバー」で、家畜を荒らす肉食獣のハンターをしている自然保護官のコリー(ジェレミー・レナー)は、ある日雪山で少女の死体を発見する。少女はネイティブアメリカンのナタリー(ケルシー・アスビル)18歳。通報を受けてやってきたFBIの捜査官はまだ若い女性ジェーン(エリザベス・オルセン)。地元医師の検死の結果、ナタリーは殴られレイプされていたが、直接の死因は裸足で零下20度の雪山を走って逃げたことによる凍死。ジェーンはコリーの協力を得て、捜査を開始するが…。

    クライムサスペンスではあるけれど、社会派作品であり、重厚な人間ドラマで見応えありました。なんといってもジェレミー・レナーが良い。コリーはネイティブアメリカンの妻と離婚し、まだ幼い息子のケイシーとは時々会っているが、実は3年前に16歳の娘を亡くしていた。明かされるのは後半だが、その日たまたま夫妻でゆっくり過ごそうと子供たちを残して出かけていた間、親の不在を聞きつけた友人たちのみならず様々な人間がやってきてパーティとなり、翌日娘は行方不明に。やがてかなり離れた場所で遺体が発見されるが、すでにコヨーテに食い荒らされていて検死すらできず死因は不明のまま。コリーはその苦悩をずっと抱えて生きてきた(離婚の理由もおそらくこの事件のせいだろう)

    今回遺体で発見されたナタリーは、コリーの娘の親友だった。父親のマーティンとも旧知の間柄。なにも知らないジェーンは、ナタリーが帰宅しなかったことを気にしていなかったらしきこの父親に厳しい尋問をし、マーティンのほうも冷たい対応をするが、コリーが現れた途端、マーティンが泣きだす。今までずっと悲しみをこらえていたのだ。母親のほうも嘆き悲しむあまり自傷しており、ジェーンは考えを改める。この序盤のエピソードだけで、頼りなさそうだけど純粋できちんと成長できるジェーンのキャラ、白人ながらネイティブ社会に溶け込んでいるコリーの立ち位置と、ジェーンにとっては未知であるネイティブアメリカンの人々が、自分たちと変わらない家族への情愛を持った普通の人々であることが示されていて秀逸。

    ナタリーには不良の兄チップがおり、彼が入り浸っているヤク中の若者たちのたまり場へ、警察署長ベンと共にジェーンは踏み込む。若者たちは理由もわからないまま反撃してくるが、なんとか鎮圧。チップは妹が殺されたことを知らず、事件を聞いて取り乱し、その様子からジェーンたちは犯人は彼らではないと判断。コリーはチップから、ナタリーには白人の恋人がいたこと、その恋人は冬場は閉鎖されている掘削所の警備員で、名前はマットであると教える。怪しいスノーモービルの跡を見つけ、それを追跡したコリーとジェーンは、新たな遺体を発見。死体を猛禽がつついている。その遺体はなんと、掘削所の警備員マットであることが判明。警察署員の僅かな応援人数を加え、一行は掘削所へ赴くが…。

    登場人物自体は少ないため、犯人は比較的あっさり判明するが、とにかくこのウインドリバーという土地の闇の深さに愕然とする。雪しかない広大な土地、そこに押し込められたネイティブアメリカンの人々だけでなく、掘削所の警備員のような白人たちもなんの娯楽もなく倦みきっている。警察官は全部で6人しかいないとセリフにあったが、しかも彼らはこの土地では殺人事件の捜査権限がない(だからFBIのジェーンがやってくる)序盤の検死でナタリーの死因が凍死(事故死)であると判明した時点で、通常実際には調査は打ち切られてしまうのだろう。レイプ事件に対する女性であるジェーンの憤りと、かつて同じように娘を失ったコリーの犯人追跡への熱意が、彼らに調査を続けさせた。

    さて、あからさまに怪しい、マットの仲間の警備員たち数名。案の定彼らが犯人。たまたま仲間の留守中に部屋に恋人ナタリーを連れ込んでいたマット。しかしそこへ予定より早く仲間たちが帰宅。酔った勢いもあり、ナタリーに絡んだ男をマットが殴ったせいで乱闘となり、彼らはナタリーをレイプ。途中で再び立ち上がったマットがナタリーを必死で逃がし、ナタリーは裸足で雪原を駆けるも力尽き…。マットは仲間たちに殴り殺され、死体は雪山に捨てられたのだった。せめてもの救いは、マットが最後までナタリーを守ろうとしてくれたことだけ。しかし犯人たちは反省するどころか、FBIと警察が来ても自首もせず乱射、銃撃戦になり双方ばたばた倒れていく。

    別行動をしていたコリーが助けに戻り、離れた場所から猟銃で次々犯人たちを倒していく場面はスカッとした。コリーは常に沈着冷静、タフで頼りになり、かつ人としての思いやりにも溢れている、文句のつけどころのない渋い男。そりゃジェーンならずとも惚れてまうやろ。撃たれたジェーンを助け、最後に逃げた一人を追いつめたコリーは、彼の口から真相を聞き出し、話したら逃がすと約束した通り、彼を逃がす。しかしその前に相手を裸足にしている。つまり、彼はナタリーと同じ条件下に置かれたわけだ。走って逃げても勿論…。そしてナタリーと同じく凍死は事故死だから、殺人にはならない。復讐としてこれ以上の方法はないだろう。

    事件は一応解決したが、ウインド・リバーのような土地が抱える問題自体はなくなったわけではないのが辛い。しかしコリーとマーティンの、父親同士の(白人とネイティブアメリカンの壁を越えた)友情がとても良かった。

  • ウィンドリバー保留地で見つかったインディアン出身の少女・ナタリーの遺体。殴られ強姦された彼女は−20℃近くで吹雪く中を裸足で10km以上も走って逃げ、肺を凍らせて死んでいった。第一発見者のハンター、コリーはFBIのジェーンとともに事件の真相を追う。
    コリーは同じような事件で自らの娘も失っており、ナタリーは彼女の親友でもあった。
    陰鬱な光景と、そこで苦しむインディアンの人々にスポットがあたる。

    主演コリーを演じるのはジェレミー・レナー、役によく合っていますね。ハードボイルドで、厳しい環境で生き、悲しい過去を抱える強い男という感じがよく似合う。ギル・バーミンガム演じるナタリーの父・マーティンとのシーンは、娘を無くしたもの同士共通の深い悲しみが漂う。寡黙なマーティンが死に化粧をして、ポツポツと語るラストシーンは心を打つ。こんな過酷な場所で、人間としての強さを語るコリーの姿も印象的。
    事件の犯人たちは酔っ払ったクズなのは間違いないが、事件の根底には、政治的失敗とされるインディアンの保留地問題があり、『雪と静けさしかない』と評されるウィンドリバー地区の過酷な環境がある。犯人にコリーが制裁を下すシーンは、晴れた空に光る雪の美しさと、どこへも逃れられない残酷さが対照的。

    すごくうまい映画だと思うし、保留地問題も知れてよかった。

  • 雪に閉ざされた土地で発生した殺人事件、犯人を追う保護区のハンター、警官なのか保安官なのかの捜査官たち、やってきた連邦捜査局の女性刑事の静かな怒りが伝わってくる作品でした。
    淡々と描かれるけどずっと不穏で緊張感もありました。
    雪深い風景も相まって、ウインド・リバーの厳しい環境が心に迫ります。

    コリーの仕事人然としたところが良いです。
    静かに粛々と職務にあたってる…と思ってたら犯人との対峙、彼の強い憤りが伝わってきました。
    寒いと肺が破裂するのは初めて知りました。

    殺された女の子の件の彼氏、登場した瞬間に「TWDのシェーン!てめぇやろ!!」ってなったけど彼も被害者だった……申し訳ありません。風評被害、、


    実話ベースなんだな。ラストに挟まれる一文も。
    ネイティブ・アメリカン問題は根深いし、シャイニングのオーバールックホテルも原作ではこの系統だったので闇が深いなと思いました。

  • とても面白かった。
    舞台はほかの映画にはない極寒冷地。
    その中で生きるアメリカンネイティブやそれを取り巻く仲間と思える人達と、そうでない人達。
    この地では強い人が生き残る。
    最初に犠牲者として出てきた女性はとても強かったが亡くなった。
    そこに送られてきた若い女性のFBIエージェント。
    住人たちが守ってる暗黙のルールを知らず、あくまでFBIのルーフに従おうとする。
    しかし、周りの人達と接していくうちに段々理解を示すようになる。
    特にランバートがとても頼りになることに気づく。この2人を中心に事件を解決していく。
    実話ということだが舞台設定の表現方法が素晴らしい。
    とても厳しく人間一人で放り出されたら直ぐに死んでしまう環境なのだが、美しい映像でこの映画の全体を包み込む、と言うよりも画面の外に拡がっているように思える。
    いくつもの心に残る言葉があった。
    娘を失ったことに対して「乗り越えようとすると忘れてしまう。苦しむことを受け入れることで心の中に残る。」
    「ここでは運はない、鹿は運が悪いから死ぬのではなく弱いから死ぬ。生き残った君(ジェーン)は強かったからだ。」
    そして、ジェーンはこう言う。
    「亡くなった少女は6マイルも裸足で走り続けたのか」と。
    映画全体にわたる各シーンの表現も素晴らしいし、出演者の演技も素晴らしい。
    コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)かっこいい。

  • ストーリーとしては 静かで淡々としているように見えて
    ネィティブアメリカンの保留地とされる場所を舞台に アメリカの闇を垣間見た気がした。
    アメリカの辺境を舞台に現代社会が抱える問題や現実をあぶりだした「ボーダーライン」「最後の追跡」で、2年連続アカデミー賞にノミネートされた脚本家テイラー・シェリダンが、前2作に続いて辺境の地で起こる事件を描いた自らのオリジナル脚本をもとに初メガホンをとったクライムサスペンス。主演は「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーと、「アベンジャーズ」シリーズのエリザベス・オルセン。ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバーで、女性の遺体が発見された。FBIの新人捜査官ジェーン・バナー(オルセン)が現地に派遣されるが、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のベテランハンター、コリー・ランバート(ジェレミー.レナー)に協力を求め、共に事件の真相を追うが…
    容疑者を追って 事件の鍵になる物証となる建物の部屋をノックしたところから 事件の回想シーンに切り替わるのは 面白い味を出していた 殺人だけど他殺にならないという そこに本当の闇を感じた。

  • ワイオミング州の雪深い山間地、ネイティヴ・アメリカン居留地「ウインド・リバー」で起きた、先住民の娘の謎の死。
    極寒の雪山の中で走ると、呼吸で肺が凍り、吐血し、喉を詰まらせて死に至る。
    広大な自然の雪山の美しさとは裏腹に、人間の浅ましさや冷酷さ、暗黒が渦巻いている。
    「この土地は凍った地獄だ。あるのは雪と静寂だ」

  • シェルダン監督は、2015年に『ボーダーライン』、2016年に『最後の追跡』の脚本を手がけ、2017年の『ウインド・リバー』では監督と脚本を担当。
    「ボーダーライン」と本作しか見てませんが、彼は硬派なサスペンスが得意分野のようで、中でも冷静沈着にターゲットを始末する陰のある男を描かせたらピカ一の手腕を発揮するようです。本作ではネイティブアメリカンの社会問題を題材にしながら、主役のジェレミー・レナーがいい仕事をしているので、とても奥深い作品となっています。ラストの「ネイティブアメリカンの失踪者の統計は存在せず、数は依然不明」という事実も胸を打ちます。

    『ウインド・リバー』(Wind River)は、2017年米映画、監督・脚本はテイラー・シェリダン、主演はジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンが務めた。なお、本作はシェリダンの監督デビュー作でもある。
    本作は2017年5月に開催された第70回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品され、シェリダンが監督賞を受賞した。

    ワイオミング州ウインド・リバー・インディアン居留地。FWS(合衆国魚類野生生物局)のハンター、コリーは雪山に囲まれた雪原の中で、ネイティブ・アメリカンの少女ナタリーの死体を発見した。
    BIA(インディアン部族警察)署長のベンは、FBI(連邦捜査局)に捜査を依頼するが、派遣されたのは新人捜査官のジェーン1人だった。ジェーンは過酷な環境での捜査に難渋し、コリーに捜査への協力を依頼した。
    検死を行うと裂傷やレイプ痕があり、殺人の可能性が高いが、死因は冷気を吸ったことによる、肺の出血と窒息死であり他殺とは断定されなかった。 捜査を進めて行くと、ナタリーが極寒の中を10キロもの距離を裸足で逃げていたことが分かり、さらにナタリーの恋人マットの遺体が森の中で見つかる。
    謎は深まるが、コリー、ジェーンらはマットの勤務先である、掘削地の警備員たちに目星をつけるが、2人は真実とともにネイティブ・アメリカン社会の闇に直面することになる。(Wikipedia)

全66件中 1 - 10件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×