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感想・レビュー・書評
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前作「私の名前はルーシー・バートン」のなかでうわさ話や思い出話のなかに出てきた、ルーシーが生まれ育った田舎町の人々を描いた短編集。読み終わって思わずまた「私の名前はルーシー・バートン」をひらいて(ってもキンドルなんだけど)、ああこの人はここで出てきた人だったか、とか読み返したりした。
どの人たちもだいたい、子供時代すごく貧しかったり、家庭環境に恵まれなかったり、いじめられていたりで、その後、町から出ていって成功したりする人もわずかながらいるけれど、たいていはそのまま町にいて年月が経っても人生あんまりうまくいってないような人が多くて。そういう人生のなかにも、見よう考えようによっては幸せがあったり希望があったりすることもあって。そういうことをもちろんすばらしいと思うんだけど、それでもやっぱり人生は厳しいなというか、膨大な悲しみと一瞬の希望とか量で?比較してしまうとつらいな、とか悲観主義的なわたしは思ってしまった。。。。
印象に残っているのは、本のタイトルにもなっている最後の短編で、成功した人のひとりだけど今は老年で健康状態もよくない男性が、発作で倒れたその瞬間に、それまで話していた見も知らない人との心の通じ合いみたいなものを感じて、「何があってもおかしくない」と思う話。(ってこういう解釈で合っているのかもよくわからないけど。そしてこのあとこの男性は死んだんだろうと思うけどそうじゃないのかも?)「何があってもおかしくない」っていうことの解釈も実はよくわからないんだけど、わたしは、幸せが訪れることもある、みたいなことだと思って、それが、この人生最後みたいなとき一瞬にだけ? たったこれだけ? もうこのあと死んじゃうのに? とか思ってしまったんだけど。。。
正直、解釈も難しいし、一編まるごと、うーんどういうことだろう、と思ったものもあったんだけど、よく読んで、考えれば考えるほどいろいろ考えられる本だと思う。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示