- Amazon.co.jp ・電子書籍 (738ページ)
感想・レビュー・書評
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もはやジャンル分けも難しい。
アクションであり、ハードボイルドであり、サスペンスであり、ドラマであり、ドキュメントであり、アメリカの闇歴史でもある。
ケラーを通しての麻薬戦争、というスタンスは変わらないが視点はさらに抽象化され、麻薬に関わる善悪様々なサイドに属する人々の一大サーガとなっている。
この圧倒的なドラマは読むものを、どこまでも泥沼の戦場に引き込む。これだけの熱量の作品を書き上げられる作家は余りいないだろう。
ケラーの主張がこの泥沼の深さを語っている。
100億くらいかけてテレビシリーズにして欲しい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『犬の力』『ザ・カルテル』そして本作を読んだ。
『犬の力』を読んだ時の衝撃は忘れられない。
アラン・ケラーという人間の持つ正義と悪。
ドン・ウィンズロウは最高だ。 -
Kindleベースで上下合わせて1400ページある大作。普段3冊くらい併読してるが、この期間はこれに集中してなんとか2週間くらいで読了に漕ぎつけた。この本を読むために「犬」を読み直し、長らく積読だった「カルテル」に手を出した。積年のケラーシリーズ完読プロジェクトが完了ということか。3作通して「犬」さえ読んでいれば十分ともいえるが、作者が20年かけて紡いだ物語をすべて堪能するなら4000ページ全部読むしかない。全編通して飽きさせない展開と語り口は見事。
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三部作完結編なので読まなくては、と思いつつ、まだ残虐な恐ろしいシーンが多いんだろうなあとびびってなかなか読めないでいたんだけど、読みだしたら、マフィアファミリー三代目たちの、三代目にありがちな、ちょっとのんびりしたおバカなある意味穏やかなマフィアっていう感じで拍子抜け感もありつつ、それはそれで新しい時代の感じでおもしろくて。そうしたら、上巻の終わりくらいから、グアテマラの少年のアメリカへの旅の話がはじまって、そのすごい冒険譚に引き込まれて、そこから突如おもしろさが加速して一気読みという感じだった。移民問題の実態を知るような感じで考えさせられた。それにしてもグアテマラの状況、ひどすぎる。現代のこととは思えない。。。
途中からトランプ大統領も出てきて(名前は違うけど)、国レベルの政治的な話にもなって興味深かった。本当に「今」の話のようで。
ラストの、公聴会でのケラーの独白、三部作をおさらいしてくれたようだった。そのなかで、麻薬が入ってくることを阻止するのも大切だけど、なぜ人が麻薬に溺れるのかも考えるべき、根底に社会の問題があるのでは、っていうような言葉が心に残った。
三部作読んできて、これでラストが悲劇だったら最悪だなあでも悲劇で終わるのかも、とヒヤヒヤしつつ読んでいたけど一応ハッピーエンドでほっとした。