シトロン坂を登ったら 大正浪漫 横濱魔女学校 (創元推理文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • AmazonUnlimitedで読了。

    まずタイトルが良い。シトロン坂を上って…そこにはどんな学校があるのだろう。揺れるリボン、袴に美美しい着物を合わせた、上品な女学生たち…。もうこれだけで読む気になった。そのうえ、よく見れば『魔女』学校ですって?どうやら大正の御代にあっても、この女学校、普通ではないらしい。

    シリーズ第一作ということで、期待に満ちて読み始めた。そして、期待に違わず、本当に楽しく、面白かった!横濱女子仏語塾は、小さな女学校。今日も乙女たちがお勉強の真っ最中…普通の学科も外国語もある。でも、ダンスのお授業はなんと…なんと箒で空を飛ぶお稽古!そう、文字通り魔女の育成機関なのですって。ヒロインの小春も、闊達で可愛いけど、お友達の宮子さんも透子さんも、チャーミングでとってもいい。ちょっと読むだけで、作者様、相当少女小説がお好きだろうなとわかる。

    おっとりゆったり、春の日差しのようなのどやかさと賑やかさで過ぎていく日々は、横濱に現れたという豹の噂と、仏語塾の女生徒がそれに遭遇するという事件で、一転緊張感を帯びてくる…とまあ、こんな導入。

    こんなふうでこんなふうでね!と、読んで下さっているあなたに、もう話したくってたまらないんだけれど、それは差し控える。終始うつくしい言葉遣いの、可愛らしい彼女たちが、導入から思いもつかないどんな事件に巻き込まれ、そして活躍するのか、ぜひ読んで頂きたいからだ。

    この作者様、もう一つシリーズをお持ちのようで、どうもそちらともゆるやかに関わりがあるようなので、既読のファンの方もお手に取って頂きたい。生半可な昨今の少女小説と違って、きちんとした女学生文化の下調べと読書量の賜物か、言葉遣いや態度がちぐはぐなところもないし、作中に登場する道具立ても、あの頃の女学生なら、確かに触れていそうなものだったり…。手抜かりがない。さすが、『花物語』や『乙女の港』お好きなだけあるのだ。同好の士が作家さんにおられるだけで、私、嬉しいのだけれど…。

    そして、ハイカラなこの物語が秀逸なのは、いい感じに和風ファンタジーの味も持っていること。比較文化を学ばれた作者様故か、民俗学や民話などにも、相当深い造詣をお持ちと見た。日本の古い不思議な世界のことも、忘れられがちだけど、こうして物語の中に生きるって、豊かで楽しいことだと思う。やろうとして、なんだか上手く行っていない作品が多い中、とても自然に読むことが出来た。どんな形でもいいから、語られる物語の中に、そういう味が生き続けてゆくこと、とても大事なことだと思う。

    既に次の巻が出ているようなので、早く読みたくってたまらない。久しぶりに手放しで星5つ。ああ、本当に楽しかった!

  • 表紙の絵も裏表紙の説明も好きな感じだったのに、どうしても読み進められなかった。

    時系列はこちらが先(過去)だが、発売は「ぬばたまおろち」シリーズの方が先らしいので、そちらを読んでみようかな。

  • 前三作がとても面白かったので、大正編はどうか…などいうためらいを吹っ飛ばしてあまりある楽しさ。主人公、小春さんをはじめ登場人物みんなの設定が可愛らしく、袴の裾や南京編みの髪が翻る様まで見えるよう。満足。感謝。

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