[ふゆ side]
夢見がちな少女漫画スキーと、その振る舞いを自分に対する恋と勘違いしてしまう相手というのは、割ともう定番なのかなと思うのだけど、前者の北大路くんが自身の高スペックに比して、いちいち言動が可愛いあんどおたくあるあるで、早々に撃沈してしまった。お互いが勘違いしているなというのは、割と早い段階でわかってしまうのだけど、相手方の有馬くんの勘違いが、北大路くんのいちいちの言動によるもので、しかもその北大路くんのひとつひとつの態度が、いや、それ、勘違いされても仕方ないよね的可愛らしさで、かなり有馬くんに同情的だったので、いざ、それが勘違いだとわかる一歩手前では、有馬くんが可哀想すぎて、いったんページを閉じてしまった……
対する北大路くん側の戸惑いというか、ライクとラブのあいだでぐるぐるする感覚も、めっちゃわかる。いろいろ考えすぎて大変なことになっていて、その結果として、今度は双方逆向きに動き始める感じとか、なんというか、いわゆる少女漫画の王道感がすごくて、めちゃくちゃ堪能した。
北大路くんは少女漫画に毒されて、かなり恋愛に夢見てる人で、有馬くんに対するあれこれが本当に少女漫画の主人公の相手方を地でゆく人なのだけど、ずっと篩にかけられ続けて最終的に見離されるのなら最初からつきあわないほうがいい的な有馬くんの考え方も、ひと昔前によく目にしていた少女漫画の主人公的なものとも言えそうに思った。
しかし、北大路くんは、おそろしいまでの格好良さと、びっくりするほどの可愛さとで、本当に非の打ち所のない少女漫画の登場人物だなと思いました。