絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている [Kindle]

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  • ダイヤモンド社
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感想・レビュー・書評

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  • 著者の名前が衝撃的である。面白い。知っていることも多かったけど、ノーベル賞詳細とかそういう細かい知識がとてもツボ。あまり化学には関係しないけど。繊維、ナイロンとかビニロンとか、火薬がいかに歴史に影響を及ぼしたのか。とか。

  •  期待して読んでみたが、期待ハズレ。
     いや、たしかに化学の歴史としては面白く、物質における知らなかった情報も盛りだくさん。個々のテーマごとのお話は、それなりに読ませるものだったが、タイトルの「世界史は~」からくるイメージとはかけ離れた内容。

    「あらゆるモノは、原子からできている」と、物理学者ファイマンの言葉からはじまり、アリストテレスが四元素説を唱えたことから、「化学の研究において原子量の探求が重要であること」を見抜いたドルトンの原子論を経て、アインシュタインのブラウン運動の理論などから原子の姿にたどり着く人類の、科学者たちの営みは読ませるものがあった。

     が、その序盤からして、「これって世界史というより、単に化学史?」と、早く化学の発展が、いかに世界の歴史を動かしていくかの話にならないかと頁を繰った。
     中盤から後半にかけては、火、金属、アルコール、薬、麻薬、石油、そして核物質と、物質ごとの章立てになっていて、いかに歴史を動かしたかが語られるのかと期待したが、それぞれの物質をいかに人類が利用してきたかの歴史であって、化学が作った歴史という論調になっていかない。
     確かに、精錬技術が進み青銅器より先に鉄器を手にした民族が優位に立ったろう、石炭(固体)から石油と天然ガスの流体(液体と気体)へ転換したエネルギーの流体化というエネルギー革命はあったが、それは化学が作った歴史なのか?

     要は著者に確固たる史観というものがないのだろう。化学が作った歴史という視点では語れていなかったのが大いに期待外れ。まだ『世界史を大きく動かした植物』(稲垣栄洋著)のほうが、よりダイナミックに歴史の流れを俯瞰していた(https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/B07H82NW2F)。

     恐らく、今、大きな人類史の流れで語る書籍がウケることを、版元のダイヤモンド社も分かっていて(『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ著)以降)、化学を題材に、それなりに歴史を語らせ、タイトルも付けたのだろう。うまくやったな(笑)

  • 世界史というよりは化学史が淡々と書かれている。
    身の回りのあらゆるものの化学史ということで、化学を学ぶ高校生や中学生の時に読んだらいいかもしれない。
    ウェッジウッド(創始者)の娘の息子がダーウィンとは。
    ジハイドロゲンモノオキサイドの話は面白かった。そういえば知人に食べ物の裏見て化学物質が入ってる!と騒いでる人がいたが化学物質とは、モノの材料になる物質なので当たり前。モヤっとしていたが説明されてスッキリした。

  • 古代ギリシャ・デモクリトスの原子論から始まり、中世の陶磁器や金属錬成、産業革命を経て、現代の衣食住に至る道筋を化学の進歩という目線で書かれている。

    一つ一つの章は、専門性を抑えて平易に説明されているので、これまで化学に触れてこなかった読者でも読み物として楽しめる構成になっている。

    理系の大学生だったのである程度は知っていたが、改めて思うところがあった。

    例えば、目に見えない分子の世界が「見える」ようになるまで、古代ギリシャから実に19世紀まで待たなければ行けなかった。現象論としては18世紀の産業革命には熱力学として発展たが、本当にミクロな視点での理解が始まったのはアインシュタインのブラウン運動の研究が端緒である。さらに元素が体系的に整理されたのも同じく18世紀のメンデレーエフによるものだった。

    歴史を振り返ると改めて、先人の膨大な成功や過ちの積み重ねの上に、現代の科学技術と人類の繁栄があることがわかる。

    また、個人的には、合成繊維や染料、プラスチックの発展の部分が、新しい発見があって面白いと思った。
    有機化学は、こういう読み物と一緒に勉強すると、1番身近な単元だと思った。

  • 分子や原子、元素が定義されていく歴史、周期表はどのようにできていったか、などなど、高校の時に多少は習ったような気がする。一気圧は水銀柱76cmというトリチェリの実験は懐かしい。ライナス・ポーリングの一般化学は大学の教科書だったような。化学の授業は二つあったので、私はそちらの授業はとってないけど。

    パンもビール造りも化学、麻薬も化学、コロンブスがアメリカを発見したのも金を求めて黄金の島ジパングを探しに行ったからなどなど、人類の歴史や発展を化学の観点から読み解くのはなかなかドラマチックで楽しかった。

  •  世界史は化学でできてる

     人類が誕生してから文明が発達し現在に至る。そこには科学の発展が不可欠である。そんな人類の歴史を化学の観点から解説してくれる一冊。

     最初はドルトンやメンデレーエフ、アボガドロなど化学の教科書冒頭で登場するスーパースターたちが出てくる。主に元素・原子の発見の歴史を学ぶ。その後エネルギーの話や感染症の歴史、途中ではカレーライス、ビール、ワイン、パン作りの話まで入ってくる。

     「科学も苦手なのに、化学。。。蕁麻疹が出ます」という人もいるかもしれない、いや、知り合いでも何人かいます。確かにところどころ多少難しいところはあると思います。実際理系の私もよくわからないところもありました。だけど大丈夫。これは歴史の教本。全体的には平易な説明になっており細かいことがわからなくても流れと化学者たちが夢見たロマンを少しでも味わえればOKと思います。
     何を隠そう化学式は一切出てきません!!歴史の本といっても一つ一つは数項の単元になっているため、興味のないところは飛ばしても問題なし。

     化学+歴史のロマンに触れたい方は一読オススメです。

  • 第1刷P119 「1882年、日本ではじめてコレラが発生する。」これは1822年の間違いのようだ。小さなミスだけど、出版社HPに正誤表がないし、そもそも文中で第二弾1858年って言ってるのだから(これは正しい)普通に校正してたらわかるでしょう、と信頼性に疑問を持った。わかりやすさを追求したのだろうとは思うが、曖昧だったり無意味に時系列が入れ替わって記述することもあり、読みにくい。

  • 化学を切り口に世界史を見つめ直したらこうなる、という読み物。章立ては短くまとまっていて読みやすかった。

  • 3.5 まずまず。もう少し科学に振った内容が良かったかも。

  • なかなか面白かった。
    新しい事に挑戦した国は栄え、それを疎かにした国は衰えていく。
    どんなヒット商品も真似され、コピーされ、普及していくが、環境が変わっていくのは必須なのだと思い知らされた。
    たしかに世界史は技術史ですね。

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著者プロフィール

左巻健男
1949年生まれ。東京大学非常勤講師。元法政大学教授。『RikaTan(理科の探検)』誌編集長。
千葉大学教育学部理科専攻(物理化学研究室)を卒業後、東京学芸大学大学院教育学研究
科理科教育専攻物理化学講座を修了。
専門は理科教育、科学コミュニケーション。
主な著書に、ベストセラー『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』(ダイヤ
モンド社)ほか、『学校に入り込むニセ科学』(平凡社)、『おもしろ理科授業の極意: 未知への探究で好奇心をかき立てる感動の理科授業』(東京書籍)、『面白くて眠れなくなる物理』(PHP研究所)、『中学生にもわかる化学史』(筑摩書房)などがある。

「2022年 『世界が驚く日本のすごい科学と技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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