起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男 [Kindle]
- 東洋経済新報社 (2021年1月29日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (450ページ)
感想・レビュー・書評
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先駆けて何かを行う人はたたかれる?出る杭は打たれる文化は日本の悪しき伝統なのか?当時、「リクルート事件」という言葉だけは記憶にあるが、内容は全く知らず、興味すらなかった。書籍を読んで、江副浩正という人が築き上げてきたものに興味を持ちました。知っている名前のオンパレード、当時の日本人の中心にいたのではないかと思うほど、先見の明がある。冒頭にでてくるが、現在Googleが行っていることをやりたかったのだとしたら、本当に時代の先を見ていた人なのだと思う。リクルートが発信、配信している情報は、多くの日本人が身近に利用しているものがおおい。こう言う思考になるためには何を習得したら良いのか?どのような内容を教育に活用すればよいのか。いろいろな縛りがある世の中で、頭の中の発想は自由人でありたいと思う。
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間違いなく今年読んだ本の中では一番面白かったです。江副さんが作ったリクルートという会社がいかに個人それぞれの能力が高く、仕事につたいしても真摯にお客のために働く人が多いんだなと考えさせられました。
本を読み終わった後は、映画を一本みたくらいの感慨深さがあります。
ぜひ時間があれば読んでみてほしい本です。 -
個人的には数あるリクルート本の中でも最高傑作、魂が震える1冊でした。
江副さんの生い立ちから起業→成長→リクルート事件→バブル崩壊からの借金完済まで。時に同時期の北米の動向や現代の情報産業の趨勢を行き来しつつ、江副さんを取り巻く物語がダイナミックに綴られていて、読み物としてグイグイ読まされる面白さがある。
数多いた実際の登場人物それぞれの視点や発言も豊富に盛り込まれていて、これは元Rひいきな目線になってしまうが懐かしいビル名や知っている名を見るたびこれが史実であることを実感し驚く。
この物語のタイムライン上のどこかで生を受けている読者が多いはずなので、自分のリアルな記憶とも結びついて思い耽る場面がきっと多々ある。
既に見知った話でも本書を通じて初めて知る事実もあり、リクルート事件の引き金となったメディアの業、江副さんが検察に受けた所業の数々に歯噛みする思いを感じることもあれば、ダイエー中内さんのあの有名な発言に改めて目頭を熱くしたり、また本書の終え方・エピローグには心にグッと来るものがあった。
江副さん縁の地、いつも行きたいと思いながら行けていなかった安比高原にぜひ行こうと思う。 -
カリスマ的起業家が世の中を席巻する昭和の時代に、カリスマ性の欠如をコンプレックスに思っていた人間のノンフィクションは、同世代の他の起業家とは異質な生涯だったように感じた。また、学生起業家であることや能力がないことのコンプレックスという点で私と共通していて、組織開発に役立てられそうであった。
何度か出てきた「水を得た魚」という言葉が当時のリクルートの組織の強さを物語っている。自らによって機会を生み出せる環境を作れたのが成功の大きな要因だったのではないか。あと余談だが、この国は官僚的組織がいつも邪魔者なんだなとリクルート事件のくだりを読んでいて感じた。 -
リクルート、、、いや江副氏半生のノンフィクション本。
一冊を通して長いドラマを見ているような気分でした。
冒頭、Amazon創業者ジェフベゾズと楽天副社長有馬氏の出会いがから始まりどの章も網羅的に臨場的に描かれています。その場にいるような感覚をもたせてもらい、一読者として非常に楽しませてもらいました。日本社会旧来の価値観(カリスマ経営者崇拝)を合理的な思考に変え、世の中の常識を破っていく姿はベンチャー精神ならではだと感じます。
入念に調べ上げて構成され(大変だったと思います)世の中に贈りだしてくれた事に感謝したいです。
・本質をいち早く見抜く察知力
・起業家を指南してくれる有能な投資家の必要性
・既得権益読売との勝利における組織マネジメント
・有能な学生採用を実現する採用術
・リクルート事件の全貌
・リクルート退任後の半生
ここには書ききれないですが
ビジネス、人生でもこの本から学ぶ事は多いですね。 -
カリスマ性ではなく、それぞれがやりたいことを引き出す。
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知らない内容も多く面白かった。あらためて凄い人だと感じると共に、晩年がかわいそうに思えた。
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リクルート事件、概要知らなかったが理解できた。
未公開株を周りに配るのは当時常識であったが、それをインサイダーとされ逮捕されたと。もしかしたら潰されたのかもしれないな。
にしても新規部署のISIZEは人材の宝庫だな。人材は集積する。
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・後悔最小化のフレームワークbyベゾス
・君はどうしたい?→これもあるよね、の誘導、そこから君がやってよ
・アワードで表彰し、テクを共有させる。
・限定された市場で40%を取れ。
・計画経済は社会主義。利益2割など
運命のタイミングで世界は変わる。 -
虚業と言われれば、私も虚業で糊口を凌いている。自分がものづくりをしていないからこそ思うのかもしれないが、日本のものづくりは素晴らしい。
ただ、ものづくりでは儲けられない時代になっている。現代はこの本で虚業と呼ばれた情報を扱う企業にお金も人も集まる時代になっている。
日本のものづくりは素晴らしい、ただ、それだけにその成功体験を忘れられず、国自体が儲けられない体質になっているのではないだろうか。
著者はリクルート事件こそが日本がものづくりから脱却できなかった原因だと書いていたが、個人的にはリクルート事件は、日本がものづくりという成功体験を手放せず、新しいものを受けるのに時間がかかることの証左なんじゃないかと思っている。
本のタイトルになっている通り、江副浩正氏は天才だろう。ただ、だからと言って素晴らしい人間であるとは言えないのが面白いところではある。リクルート事件についてはややこしいので置いておくとしても、プラットフォーマーとしての最低限守るべき倫理規範を持っていなかったのは間違いない。不幸にも学ぶべき先達がいなかったというのは理解できるが、だからと言ってやれることと、やっていいことの区別もつかないのは頂けない。京セラの稲盛氏が第二電電の創立メンバーから江副氏を外したというのもうなづける。
「変容」と書かれていたが、本の後半江副氏は人が変わったようになっていく、権力も才能も手に余るものを持ってしまうと不幸になるというのはこういうことを言うのだろうなと、どちらも持ってない私は思うのだった。
本はシンプルに面白かった。『破天荒フェニックス』とか『渋谷ではたらく社長の告白』とか、『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』とかも面白く感じたし、おじさんだから基本的に企業の本が好きなんだろうな。まぁ、私はそれほど仕事に熱くなってはいないのだけれど。