三体Ⅲ 死神永生 下 [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • Ⅲは普段からSF読んでる人じゃないとわからないとかいわれてもいて、読めるかなあと心配だったけど、いやいや本当にびっくりするくらいものすごくおもしろかった! 三部作のなかでいちばんおもしろかったかも。

    こんな壮大な物語は読んだことない。すごいスケール感とスピード感、疾走感に興奮するような。なにしろどんどんどんどんとてつもない年月が過ぎて宇宙の終わりまで話がいってしまうので。と、ここで書いてもその壮大さは表現できない感じ。とにかく、想像したこともない奇想天外なできごとが次々起きて、でもそれが、奇想天外と思いつつも説得力があって、もうそれが真実だとしか思えない。きっとこれから何世紀も先にはこういうことが起きるとしか思えない。今わたしは、宇宙は「暗黒森林」状態で、宇宙には人類以外にも数限りなく、高度な文明を持つ生命体がいるって信じてる……。

    宇宙の情景とかが壮大すぎて、知らない世界が奇想天外すぎて、想像できる範疇にない!と思うところもあったけど、やっぱり描写がものすごく巧みで、想像つかないながらも想像できる(?)ようで、わたしの貧しい想像力でも、美しい!すばらしい!と思えるというか。
    個人的になんだか心惹かれたのは「次元」の話。昔、小学生のころ、オカルト話が流行っていて「二次元てのは面しかなくて、三次元が今わたしたちがいる次元で、あと四次元ていうのもあって、四次元空間に入ったら絶対に戻ってこれないんだよ!」っていう話が恐ろしすぎて怯えた記憶があって。その四次元空間にここで出会うとは……。しかも四次元以上の次元があるとは……。

    三部作読み終わって、なんだかとんでもなく長い長い長い旅をしてきたような気もして、充実感を覚える感じ。こんなに宇宙の話を自分が話を見失なわない程度に理解できて(もちろん細かい物理学や科学の話は理解してないけど!)楽しめたのがうれしくもあって。

  •  とにかく面白い。どんどん進んでいくんだ。
     自分がどうかということが関係ない絶望に立ったときに人がどうなっていくのか。そのギリギリを想像力を膨らませて考えてるうちに次の場面に変わっていく。
     著者の想像力の途方もない広大さ(この言葉さえ陳腐)にただただ驚き、自分もそれに便乗して世界を見せてもらっているような感じだった。
     最期の程心と「ある男」の関係についてはふたりになるとそうなのかな。。。もう一人の「あの男」のことを思うと切ない。 誰か語り合いたい。

  • 世界的大ヒット中華SFの第三部下巻。やはり実質ジョジョ六部。宇宙は一巡するもの。時間的にも空間的にもこれまでよりスケールが一気に大きくなるため、読み終えるとため息をつきたくなる。実際、ページ数も多いし。

    上巻の冒頭にいきなり「コンスタンティノープル陥落」もかなり攻めた構成だったが、後編の「おとぎ話3部作」も相当に強気な構成と言えるだろう。これが第一部だったら間違いなく大幅にカットされていただろう。メチャクチャ売れた作品の最終巻だからこそ許される所業。そのせいでやたらと長く、覚えられるわけがないと言いたくなる。

    相変わらずブッ飛んだアイデアを入れるのが上手く、水滴を超える超兵器で太陽系どころか宇宙が終わる。というか既に終わっている。第二部は「フェルミのパラドックス」を宇宙戦争と絡めていたが、今回は物理定数を持ってきた。やっていることはある意味で同じなのだか、きっちりスケールを広げているのが偉い。そういうことができるから売れるのだろうな。

  • 日本語版の登場を長らく待った甲斐がありました。読み終えてしまうのがもったいないというのと、自分の中でストーリーをじっくり味わう時間が欲しかったので何度か数日ほど空けながら読み進み、今日ようやく読み終えました。
    「SFの歴史を変えた」と言われるのも完全に納得。これほどの壮大なストーリーを描き出せる作者の力量にただただ驚くばかりです。世界観が変わり人生に影響を与える、優れた小説の力を思い知らされる作品です。

  • 3部作、ようやく読み終わりました。三体、三体Ⅱは人類と三体人のだまし合いで、主人公も入れて宇宙版三国志ですね。三体Ⅲではだいぶ趣が変わって続編のような印象でした。主人公と人類はいつも難しい選択を迫られてましたが、「三体」は答えのない問題っていう意味もありそう。スピンオフの三体Xも気になります。

  • 程心がコールドスリープを繰り返して時空をめぐる旅という内容だった。宇宙を舞台に壮大感はあってよかったけど、Ⅱの緊張感に比べるとちょっと劣るかな・・というのが正直な感想。
    予想通り、第三の文明みたいのが出てきたものの、姿が見えるわけでもなく、なすすべもなくという展開に呆然でした。三次元が二次元になるとか、なかなか想像しづらいところが多々ありました。あとがきに、こういうのも宇宙の行く末の一つみたいに書かれてたけど、こんな時代には生きてたくないなあと思います。

  • 傑作。下巻も面白すぎて読むのがもったいなく、途中で一週間くらい読むのをやめてしまった。二次元化の描写が難しくてうまくイメージできなかったのが悲しい!
    三体三部作はこれまで読んだフィクションでもっとも面白かったと断言できる。こんな読書体験が次にできるのはいつなんだろうか…

  • 三体1も楽しんで読んだけど、今にして思うと、1より2、3の方が全然面白かった。
    1の衝撃・面白さをスーファミとすると、2はPSで、3はPS2。
    3も、衝撃的な面白さはあるんだけど、スーファミからPSの差には勝てないか・・・。と思いながら読み進めていたら、終盤でグイグイ巻き返してきた。
    暗黒領域のアイデア(桁外れな質量の引力による事象の地平線でなく、光速度を落とす事による事象の地平線の構築)は盲点だった。面白い。

    光速を落とすと、一般的な力(電磁力)の力を媒介する量子である光子の振る舞いにも影響を与えて、電磁力に頼ったアレコレ全てが狂うんじゃないかと思ったけど、そこんとこどうなんやろ

  • 三体Ⅲ

    三体Ⅱで完結したかと思っていた。暗黒森林理論に基づいた抑止効果というルオ・ジーのあっぱれな作戦が成功し、それで三体は完結かと思っていた。しかし、言われてみれば当然、ルオ・ジーはいつか死ぬ(少なくとも寿命で)。それを考えると当然その抑止を維持するためにルオ・ジーの後継者が必要になる。三体Ⅲでは、その続きが描かれる。

    最後の最後まで地球なんとか助かれ!と思ってたけど、あ助からないんだ…。最後、程心と天明が再開して二人はハッピーかと思ったらそれも会えず。ほぼバッドエンド。

    宇宙はビッグバンとビッグクランチ(宇宙創造と破滅)を繰り返すんだというスケールがデカすぎる諸行無常をかましてくる。

    危機紀元:三体危機が訪れてからの時代。

    抑止紀元:ルオジーの作戦成功によって、三体の攻撃を抑止している時代。

    送信紀元:抑止が崩壊し、万有引力が重力波送信してからの時代。

    - 第一章(危機紀元)
    - 航空宇宙エンジニアの程心と、末期がんで安楽死を選択した雲天明。星群計画(恒星を競売にかけて販売する)において、天明は恒星を購入し、匿名で程心にプレゼントする。三体文明に対して偵察を送るために冷凍保存された脳を載せて送り出す階梯計画。一切減速機構を搭載せず、あえて三体側にキャッチさせるという作戦に脱帽(だって智子によって全部筒抜けなんだよ?それでも三体人は我慢できずにキャッチするだろうと。そして脳を三体側の高度文明によって復元させると。敵を操りすぎだろ。やば)その送り込まれる人間(脳)として天明は手を上げる(程心に憧れていたから)。しかし打ち上げは失敗し、打ちあがった船は想定外の方角へ飛んでいってしまう。

    - 第2章(抑止紀元)
    - 三体との戦闘の際、地球から逃亡した2つの艦隊「青銅時代」と「藍色空間」。「青銅時代」は地球からの呼びかけに応じて地球へ戻ったところで全員逮捕される。逃げる「藍色空間」を新型の宇宙艦「万有引力」と三体側の水滴2機が追う(両者共通の標的ということで協力関係)。「万有引力」は重力波送信器を搭載していて、暗黒森林抑止システムの一部でもある(他に地球上に2機あり)。
    - 「万有引力」の乗組員たちはここで奇妙な幻覚を見る(見ていたのは4次元空間だったことが後にわかる)。
    - 抑止紀元、程心は冬眠から目覚め、三体文明と地球文明が適度なバランスを保っていることを知る。三体文明は地球に多くの技術情報を提供していた。暗黒森林抑止をルオジーの後任としてソードホルダーになることを全地球人から期待される。その役目を引き受けた瞬間、三体側は人類へ攻撃を仕掛ける。三体の予想通り、程心は両者の位置情報を全宇宙へ重力波送信するためのスイッチを押すことができなかった。
    - これにより、三体文明は智子を通じて地球をただち制圧、新たな艦隊(4年で到着できる)を出発させ、全人類を強制的にオーストラリアへ移住させる。地上の地獄具合がやばい。しかし遠く離れ、通信も途絶えていた万有引力は緊急事態を察知し、重力波送信を実行する。その事実が1年遅れて地球へ到達し、三体文明は地球を諦め、撤退する(三体も地球も、暗黒森林理論に基づいて、他の高度文明に滅ぼされると考えられるため)。
    - 「藍色空間」と「万有引力」の乗組員たちは4次元空間に遭遇する。

    - 第3章(送信紀元)
    - 三体の惑星は理論どおりに暗黒森林攻撃により破壊されてしまった。
    - 智子が地球を去る前にルオ・ジーと程心と会談を持った。そこでルオジーは「地球は安全な星であると全宇宙に宣言し、暗黒森林攻撃を避ける方法はあるか」と質問し、智子はあると答える。ここから人類による安全宣言の方法の追求が始まる。
    - 天明は三体に鹵獲されており、生存していたことが判明。智子の仲介により、程心と天明は遠隔で接触することができた。そこで天明は程心に寓話を聞かせる。その寓話は安全宣言のための重要なヒントがあるのではないかと人類は解読に試みる。
    - 地球文明生存のためには3つの道が案として持ち上がった。掩体計画(バンカープロジェクト、木星や土星の陰に隠れる)、暗黒領域計画(ブラックドメインプロジェクト、光速を遅くすることで高度技術を手放す)、光速宇宙船プロジェクト。
    - 光速宇宙船プロジェクトは、三体文明を観察し、光速へ突入した際に航跡が残ることを発見し、余計に自らを危険に陥れると判断し頓挫。光速宇宙船開発は禁止されるが、トマス・ウェイドは程心のすべてを渡せば高速船を作ってやると言い、程心は自分の会社、星環グループを明け渡した。また、開発途中で人類に危険を及ぼす可能性があれば冬眠から起こすことを条件に冬眠に入った。

    - 第4部(掩体紀元)
    - 程心が再び冬眠から目覚めるとそこは掩体世界、木星の裏に浮かぶ都市だった。「掩体計画」にもとづき、地球人は地球を離れ、木星や土星などの裏に生活の場を移し、暗黒森林攻撃に備えていた。
    - 暗黒領域計画の研究もされていたが、光速を遅らせる技術開発は全く進んでいなかった。トマス・ウェイドによって、光速宇宙船プロジェクトについても進められていたが、人類に対する危険があることから程心がプロジェクトを停止させる。

    - 第5部

    - 暗黒森林攻撃を行っている第三の文明目線の場面。曰く、すべての文明は潜伏遺伝子(他文明から隠れる)か浄化遺伝子(他文明を攻撃する)のどちらかを持っていて地球文明は危険文明と判断される。この時従来の光粒では攻撃の死角が生まれる(つまり掩体計画を見破っていた)ため、別の双対箔(全てを二次元に飲み込む紙切れ状のもの)によって攻撃をした。(またこのシーンの中で、暗黒領域計画が唯一の人類が生き残る方法であったことが示唆される)
    - 放たれた双対箔は時間をかけて太陽系を徐々に飲み込んていくが、ルオ・ジー会いに行くと実は光速船が存在していることが判明(また、あの時程心がプロジェクトを停止してなければより多くの地球人を救出できたことがわかり、程心は2度も選択を誤ったことになる)。程心とAAだけがそこに乗り、あの天明が程心に贈った恒星へ。
    - その恒星は2つの惑星を持っており、一方のブループラネットは人類が生きていくのに適した環境だった。到着するとそこには<万有引力>乗員の関一帆が待っており、すでに人類が到達していたことがわかる。関と程心がもう一方の惑星の探索から戻ってくるところでAAから天明が現れたと通信が入る。ブループラネットに戻ろうとしたところで暗黒ゾーンに落ちてしまい、ブループラネットに戻った時には1800万年が経過していた。
    - はるか昔に天明もAAもいなくなっていたが、そこには別世界(小宇宙)へ繋がる扉が残されていた。それは天明からの新たな贈り物だった。大宇宙が崩壊するとき、この小宇宙でやりすごすために。
    - しかし、多くの小宇宙が作られたことにより、大宇宙の質量が小さくなり、このままでは再収縮が起きず、リセットされないことがわかる。程心はこの小宇宙の物質を全て大宇宙に返すことを決め、自らも大宇宙へ飛び込んだ。おしまい。

  • いや、面白すぎた。正直絶賛です。。

    二次元への崩潰なんて、もうイメージできるようで全然わからん演出とか、初巻を通じて所々で本当に他のハードSF作品とは一線を画してるのは間違いない。

    そして、しっかりと物語として完結している。
    もうレビューとか読んでないでちゃんと買って読んで下さいとしか言えない。

    世界で2900万部とか書いてあったけど、それだけの人が本作を楽しんだのか〜、とか思うとなんか感動する。
    #どうなるか怖いけど、netflixで実写化されるとか、、、、まぁもちろん見るけど

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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