獲る・守る・稼ぐ 週刊文春「危機突破」リーダー論 [Kindle]

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    同じ仕事を続けていれば、怒らせた相手のもとに依頼にいくこともある。相手が怒っているだろうと思えば腰が引けてしまうが、姑息な駆け引きなどせず、単刀直入に相手の懐に飛び込んで、誠心誠意頼めばいい。

    ダメでもいいのだ。次に頼んだ時は、「また来たか」と相手の心が動くかもしれない。頼むことはタダ。頭下げることもタダ。一歩踏み出した結果、局面が突破できることは少なくない。

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    炎上を恐れて、リスクのありそうな記事を止めるのではなく、「なぜ出したのか」を胸を張って説明できる状況を準備する。

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    リーダーは危機に陥った時ほど、背中を丸めて下を向いてはいけない。

    「胸を張る」というのは気分だけを指すのではない。  実際に胸を張って前を向けば視界が広がるし、新鮮な空気が胸の奥まで入ってくる。背中を丸めて下を向いていると視界は狭まり、気分まで暗くなる。

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    リスクを探すことにばかり時間を割くよりは、何かが起きた時に説明する技術を磨くことのほうが、はるかに読者からの信頼につながる。

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    相手が宗教であっても報道の自由、表現の自由は守られるべきで、究極的には何を書いてもいい。ただしそのリスクを引き受ける覚悟が必要だ。その究極のリスクは命を落とすことで、シャルリー・エブドは、まさにそのリスクを引き受ける結果になった。

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    危機管理において、肝に銘じるべき大事なことが五つある。  一つ目は、最優先で守るべきものをしっかり見極めることだ。  たとえば、森友学園問題が起きた時の財務省は、組織の論理や次官のクビ、担当大臣や総理大臣のクビを守ろうとしているように見えた。彼らの仕事の根幹は国民から集めた税金を公正に分配することなのだから、あの時最優先すべきだったのは国民からの信頼のはずだ。

    危機管理で気をつけることの3つ目は被害妄想だ。自分たちは、こんなにも頑張って危機に対応してるのに、なぜわかってくれないのか、なぜ批判ばかりを受けるのか、とまるで自分たちが被害者で、自分たちを叩く人たちが敵のように感じてしまうことがある。
    そうなると周囲を全て敵か味方に分類してしまうから、まっとうな批判も耳に入らなくなる。

    リーダーの首は組織を守るためにあるのだ。それが危機管理の最後の要諦である。

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    こうしたビジネスは、部署横断的で調整に骨が折れる面もあるが、成功体験の共有が各部門の垣根を低くしてくれる。

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    2番煎じはダメなのだ。新鮮な風を真っ先に帆で受け止めて、海面を進んでいく時が1番早い。
    この風を読む技術は、スクープにつなげることもできるし、ネット記事に応用することもできる。もちろん、先述したように危機管理においても極めて重要だ。

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    個人対個人の人間関係は、突き詰めれば貸し借りの微妙なバランスの上に成り立っている。
    長く付き合うためには、貸し借りのバランスに気を配る。頼りにされたら断らない。これが私なりの味方の作り方だ。

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    素材の良さをいかにベストな形で提供していくか。これが編集力である。

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    人間は人間によって鍛えられる。これまで出会った様々な人たちに導かれて、自分の世界が開けるのだ。
    最初から決めつけずにやってみることで、自分の世界が開けるのだ。

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    自らにとって大切な「幹」は細心の注意で守り抜く。そしてそれを守るためには大胆に変わることも恐れない。
    変わらないために変わるのだ。



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著者プロフィール

1964年群馬県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1989年に文藝春秋に入社。『Number』『マルコポーロ』編集部、『週刊文春』記者・デスク、月刊『文藝春秋』編集部、ノンフィクション局第一部長、『週刊文春』編集長などを経て、2018年より『週刊文春』編集局長。2020年からは執行役員として『Number』編集局長を兼務。2021年7月より『文藝春秋』編集長に就任。著書に『「週刊文春」編集長の仕事術』(ダイヤモンド社)など。最近著に『獲る・守る・稼ぐ 週刊文春「危機突破」リーダー論』(光文社)がある。

「2022年 『編集とは何か。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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