センス・オブ・ワンダー(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • この本は、美しく詩的な描写で、自然の観察の仕方、感じ方などを教えてくれる名著です。
    読むだけで情景が目に浮かんできて癒されました。

  • 「わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。 子どもたちがであう事実のひとつひとうが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものに触れた時の感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけ出した知識は、しっかりと身につきます。」全編通してとてもよかったし、訳者あとがきも私のセンスオブワンダーも全てよかった。何度も読み返したい。特に上に引用した言葉は子育てする上で念頭に置いておきたいし、私が生きる上でも忘れたくない

  • 「沈黙の春」のレイチェル・カーソンの最後の本。本文は間に挟まれている写真を含めても70頁程度の短いもので、後半は福岡伸一をはじめとする数人の「私のセンス・オブ・ワンダー」と題する短いエッセイ集という体裁になっている。

    ぼくは子どものころ、缶詰のみかんを誰がどうやってあんなにきれいに剥いているのだろうと思っていた。
    地震がどうして起きるのか不思議で、きっと高い山から大きな石が転がり落ちているのだろう、でもそこらの山から転げ落ちたら大騒ぎになるから、きっと海の中の山から転げ落ちている違いない、と考えていた。
    ゾウリムシなどの単細胞微生物が分裂して増えることを知ってからは、それならゾウリムシは不老不死なんじゃないかと思っていた。
    こういうのも「センス・オブ・ワンダー」だと考えていいのだろうか。この短い、美しい本を読みながらぼんやりと考えていた。

    著者は甥っ子のロジャーと森の中を歩きながら、動物や植物の名前を教えたり、説明したりはしなかったらしい。ただ自然に驚くこと。その体験を子どもと共有することが大事だと思っていたからだ。センス・オブ・ワンダー。そのセンスを持っているかどうかで、人生の楽しさはずいぶん変わる。

  • この美しい世界を誰に言われずとも美しいと感じられる自分は恵まれていて幸せだなと感じる。

  • 何度も読んでいるのに、何度読んでもワクワクする。

    自然とは対極にある人工的なものに囲まれて生活していると、気づかないうちに倦怠感や幻滅、気力を失ってしまう。
    まだ見ぬ世界を自分の目で見たい、五感を全て使って、自然を全身で感じたい。
    読むといつも生きる気力、エネルギーが湧いてくる、そんな本。
    自然は脅威でもあるけれど、美しく雄大。
    大切なことはすぐそばにあることを教えてくれる、
    立ち戻ることができる本。

  • 「小さい頃は神様がいて不思議に夢を叶えてくれた」という松任谷由実の唄がまっさきに浮かぶ本。
    大人になるにつれて、知識や処世術を身につける一方で、今目の前にある景色や音や風に心動かされる感性を失ってはいないか。子どもの頃の感受性で、自然と触れ合いたくなる一冊。

  • 「子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激に満ち溢れています。残念なことに、私たちの多くは大人になる前に澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力を鈍らせ、あるときは全く失ってしまいます。もしも私が、全ての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、世界中の子どもに生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー」を授けてほしいと頼むでしょう。この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、私たちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、変わらぬ解毒剤になるのです。」
    特に教育関係者、子育てをする親、その他全ての人に読んで欲しい本。私が子どもの頃は、外で走り回って、木に登ったり、川で魚やザリガニを捕まえたり、小さな顕微鏡で水溜まりの中を覗いてみたり、そこには言葉ではなく、感性で何かを探求しようとする、冒険心があったんだと思う。それは現代の子どもにも、勿論一人一人違うだろうが、変わらずあるものだろうし、その心を育む環境づくりをして、それに寄り添う大人が必要だろう。名前や言葉を覚えて知識を付けるのも良いが、それを覚えるだけで終わってしまうのなら、あまり意味があるものではない。自然と触れあ合い、観察し、生命の不思議にハッと気付く。大人になって日々の生活に追われても、身近にある道端の草花や、鳥の鳴き声、空を流れる雲、夜を照らす月や星々にもある神秘さ、その感性を時には思い出し大切にすれば、見えてくる世界も違ってくるだろう。

  • 著者のレイチェルカーソンは、沈黙の春を上梓したことでよく知られる生物学者である。

    https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/chemical_wondertown/memorial/page05.html

    本書は、レイチェルカーソンの死後に出されたものらしいが、そうだからなのだろうか、気を衒わない、純粋な子供への愛が溢れているかのような印象を受けた。

    1時間程度で読める量であるし、以下のフレーズに出会えただけでも読む価値はあると思う。

    ”わたしは、子供にとっても、どのようにして子供を教育すべきか頭を悩ませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。”

  • 解説が少し専門的で難しかったです。本編はとても読みやすく、自分がもし子供を授かったときを思い浮かべながらワクワクして読むことができました。「親は我が子の博士でなくていい」といったメッセージ性を感じました。

    よく温泉など大浴場で元気な子供たちを観ると、大人になるにつれて本当に様々はものから制限されていることを実感します。

    わたしは今のところ独身ですが、もし子どもを授かったら、子どものいちばんの親友的ポジションで在り続けたいと思います。

    一緒に発見したり、驚いたり、笑ったり、はじめての経験を共有しながら歩めたらお互いにとってそれはとても実りのある時間になると感じました。

    ここまで考えさせてくれる良書が手に取れてよかったです。

  • 「沈黙の春」のレイチェル・カーソンが、預かった甥っ子との日々を綴った名著。都会で子育てする人には一度はお勧めしたい。茫漠な自然の脅威を目の当たりにしたときの感覚、まさにセンスオブワンダー、が子供の成長に凄まじい効果を及ぼす。ふと自分の田舎での幼少期を思い出すと、確かにそうだったかも…と…定期的に読み返したい一冊(余談だが、カーソンが海洋生物学者だと知らなかった…)

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著者プロフィール

レイチェル・カーソン:1907-64。アメリカの生物学者。研究の傍ら、大ベストセラー作家に。1962年公害問題を『沈黙の春』で厳しく告発、環境問題の嚆矢となる。『センス・オブ・ワンダー』は1956年に雑誌発表、未完のままに死後単行本化された。ほか著書に『潮風の下で』『われらをめぐる海』『海辺』などがある。

「2024年 『センス・オブ・ワンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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