人体大全―なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか― [Kindle]
- 新潮社 (2021年9月16日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (570ページ)
感想・レビュー・書評
-
人体と宇宙を比較すると、普段使っている数値感覚からするとほぼ同等の感覚・・・ほとんど無限大に広がった(凝縮された)世界を感じる。
仏教では「この十方世界には恒河沙の世界がある。」と説く。恒河沙は10の52乗である。
本書によるとヒトをつくるのに合計で7千杼個の原子が必要とのこと。千杼は10の27乗になる。
全宇宙の恒星の数は諸説あろうが、一説では10の26乗と言うから百杼個になろうか。
さらに本書によると体内のあらゆるDNAを解きほぐして一本の細いひもにすると長さ150億キロメーター(メーターにすると15兆メーター、10兆は10の13乗)、冥王星のずっと先までいくらしい。
と、度肝を抜かれる数字から始まる本書であるが、その後は人体にまつわるA to Zがトピックス的に語られていく。NHKのノンフィクション番組”ヒューマニエンス”のノリである。各細胞部位の働きについては「働く細胞」等で予習すみなので、さほど驚かないが、驚かない読者向けにはトレビアの泉的トピックスが用意されている。実生活や生物学の勉強には特に利するものではないが、、話の種にぴったりの話題が満載になっている。人体機能の解明に多くの著名人の名前が挙がるが、それ以外に人々の記憶に残っていないが生物学や医学の進歩に貢献した数多くの人々がいて、本書では彼ら彼女らにもスポットライトをあてている。進歩に貢献しないトンでもない事をしでかした人々にも。
商品解説に”エンタメ・ノンフィクション”とあるが、たしかにエンターテーメントとして楽しめるノンフィクションである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙と「人体大全」というタイトルで若干の損をしているのではないかと思う本。
とにかく最高だった。副題の通り、なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識で生き続けられ、体では何が起こっているのかが科学的に書かれてると思います。
あと、詩的な表現が散りばめられていて本当に読んでいて楽しかった。良本。 -
ものすごいボリューム。人体に関する雑学と統計。「人間の表皮の最も外側は角質層であり、すべて死んだ細胞でできている。つまり外側から見た私たちは、表面的には死体であり、美しいと思える恋人の肌、それは全て死んでいるのだ」。なんて退廃的ロマンチズム…
-
大自然の素晴らしい景観に遭遇するとワナワナと感動するように、科学知識を知る事でも感動することが在る。ましてや人体。ちっぽけだが壮大な一つの宇宙。
宇宙で一番素晴らしい物は自分の頭の中にあります。自分のために、生き生きとして立体的で官能を刺激する宇宙を作っているんです。めくるめく自分の身体を知る旅。
著者の語りが上手いです。
人体の知識にワナワナです、ああ~知識に感動。さあてベネディクト・カンバーバッチ作ってみよう。人間は59種の原子から成立ち、炭素、酸素、水素、カルシウム、リンの6種類で99.1%となる。
残りの0.9%で53種類を占める。その中にはモリブデン、マンガン、バナジウム、鈴、銅、コバルト、クロムまである訳だから驚きであり、その調合は難しい。
魂の部分を抜きにしてもカンバーバッチを作る事は難しい事が判る。
読了して驚いたのは著者は科学者ではありません。編集者です。独自で勉強し、その宇宙に匹敵する壮大な人体解説を書き上げたのです。
あなたを作っている元素の非凡なところはただ一点、あなたを作っているというその事実にあるんです。もうそれこそが奇跡。
そして知識に感動する事、間違いなし。 -
この本スグレ本。
久しぶりにオモロイ本に出合えました。
体と微生物の共存メカニズムを優しく勉強できる一書。
コロナの理解も進みまっせ。 -
とってもためになったけど、入門編としては難しすぎた。人間ってよくできてるなぁ。