とんこつQ&A [Kindle]

著者 :
  • 講談社
3.65
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本棚登録 : 299
感想 : 35
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感想・レビュー・書評

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  • 接客が苦手だったり、嘘をついたりごまかしたり、その程度の小さな足りなさは誰でもあるが、当然そんな現実的で凡庸な欠点をそのまま書いても小説にはならないだろうから、作家はあの手この手で昇華させてお話を作る。今村の小説は、その手さばきの練度が高い。

    その技術はもはや自家薬籠中の物としているように見える。読みおわったあと冷静になると、逆にそのこなれてる感が「毎回おんなじじゃん」と当たり前のように思えて物足りないような気もしてくるが、読んでいるあいだは気にならない。

  • 『違和感満載!ホラー風味ヒューマン・ドキュメンタリー』

    ちょっと変わった主人公が
    ちょっと変わった人たちと
    ちょっと変わった幸せを…

    今村ワールド全開の短編、詰まってます
    ゾワゾワしたい方、是非、お試しを!

  • 良いお味

  • 今村夏子作品ということでまた不穏なお話なのだろうと心構えをして読み始めたのだが、短編集という事もあってか比較的ソフトだった。
    主人公が異次元な人なのは表題作の「とんこつQ&A」だけで、他の3作は罪や噂との向き合い方次第で誰でも陥る可能性があると感じられた。

    相変わらず読み始めるとすぐ没入してしまい、気付けば一気読みだった。

  • はじめの話に今川さんという女性が出てくるので途中までエッセイと勘違いしていた。どの話も今川さんらしいゾワゾワがあるけど、ずるくて無責任で自分の保身しか考えない人間だと思い知る“良夫婦”が特に印象深い。

  • 人間の暗部を淡々とした文章で不気味に表現している。若干雑な印象もあるが、そこがまた効果を生み出していると言えるかも知れない。クセになる作者だ。

  • 何だ? この感覚。
    普通に始まって、奇妙に終わる。
    「とんこつQ&A」って
    タイトルからして謎!

    普通にして、奇妙。
    なのに、だから、惹かれる。
    今村夏子ワールド全開の中編集。

    書籍のタイトルにもなっている「とんこつQ&A」。
    「とんこつ」という町の食堂に勤めた
    主人公の今川さんのお話。
    お店は大将と
    小学生のぼっちゃんで回していた。
    今川さんはお客さんに言葉を発せない。
    しかし、温かく見守る大将とぼっちゃん。
    ある日、ある事件をきっかけに
    今川さんは言葉を発することができるようになった。
    そして、「とんこつQ&A」というマニュアルを作る。
    いろいろいい感じになってきたところへ、
    新たな従業員として岡崎たま美さんが入ってきた。
    さあ、どうなる?

    「噓の道」
    嘘つきの小学生、与田正と
    同級生の姉と
    弟の僕の物語。
    話は思わぬ方へ突き進んでいく。

    「良夫婦」
    土橋友加里はタムという少年に出会い、
    食べ物を与えるのに喜びを感じるようになる。
    これもまたあらぬ方向へ物語は進み、
    友加里と旦那はある決断をする。

    「冷たい大根の煮物」
    プラスチック部品工場に
    新卒で働き始めた木野さん。
    工場で柴山さんというベテランに声をかけられ、
    柴山さんは木野さんの家で
    料理を作って帰るようになる。
    柴山さんにはある良からぬ噂があったが。

    どのお話もそこらへんにありそうな
    場所と人で始まる。
    ところが、思いもよらぬ方向へどんどん転がっていく。
    読みやすい文体、普通の人々。
    ところが話が動き出すと、
    もうページを繰る手が止まらない。
    どうなるのか気になってしまう。
    そして、普通にみえる人の
    変な、少しダークな一面が浮かび上がってくる。

    私たちの日常に潜む
    奇妙さや恐ろしさ。
    それが浮かび上がるのが、
    今村夏子の作品。

  • ジャケ買いしたら驚くギャップのある内容。ブラックユーモアという言葉が合う小説。文体はポップで読みやすいのに奇妙な人物がばかり出てくる。特に表題になっている「とんかつQ&A」が1番狂っていた。この一冊で作者の魅力にハマってしまった。

  • いつも、何か教訓を教えてくれる本ばっかり読むけど、この本は何を伝えたいのか
    分からない(笑) でも不気味が悪くて、読む手が止まらないのは今村夏子さんで、虜になっている。
    とんこつQ&Aは、私も似ている所がある。発表する時、一言一句書かないと不安になる。だから主人公の事笑えないなあと。

  • 4編とも日常生活が舞台だがシュールで、人間の弱さを切り出す少し意地悪な視線が印象的。表題作が一番よかったが「冷たい大根の煮物」も、善行悪行ってそんな単純で絶対なものじゃないよね・・・と突き放されこれもよい。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

今村夏子の作品

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