まず牛を球とします。 [Kindle]

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 12
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#SF

感想・レビュー・書評

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  • 柞刈湯葉の短編集「まず牛を球とします。」を、やっと読みました。

    これで、いんよう!の「まず牛を球とします。」回が聞ける!(笑)

    「横浜駅SF」で知った柞刈湯葉先生。
    今回の短編集も面白かった。

    湯葉先生の「ちょっと未来の不思議なSF物語」では、何というのか、「ありえなさ」と「ありえそうさ」と、それを茶化す切り口のバランスが絶妙ですね。

    これは、読んだ人の感覚にもよるだろうから、これを読んで面白いと思うかどうかは人それぞれなのかもしれないけれど、私にとってはとても絶妙で気持ちがいい。

    物語を思いついたタネみたいなものも、なんとなく想像できるのがいい。荒唐無稽過ぎず、あぁ、なるほど、この現象をこんな視点から見たらこうなるのか!みたいな。



    どの短編も面白かったけど、最後の「ボーナス・トラック・クロモソーム」と「家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています。」がちょっと怖くて面白かったかな。

    いや、どれも面白かった!
    この本を読んだ記憶を消し去って、もう一度最初から読み直して、もう一度同じ驚きを体験したい。

  •  人間は牛を食べたいが、動物を殺したくはない。そこで牛を動物でなくすというのが人類のたどりついた解答であり、牛球の技術には五十年ほどの歴史が存在する。

    そんな具合で「田中が悪い」が普及していき、気がつくと動画サイトのコメント欄では「ネタバレ:犯人は田中」という文字が並ぶのがお約束となっていた。一部では「犯人」の言い換え語として「この事件の田中は誰だよ」「高橋が田中で確定」という使われ方もしているらしいが、こちらは普及していないので本題とは関係ない。

    「うむ。交通安全の技術的なことを問うことはもう出来ないからね。事故の被害者が納得できるよう、責任をとることが我々の仕事なのだよ。機械には絶対にできない仕事だ、誇りをもって取り組んでくれ」

  • とてもわかりやすくて面白かった。
    わかりやすい=面白い=良い ではないことは承知しているけれども、海外のSF、特に少し時代が古いものを読むとよく意味がわからなかったりすることも多く、SFは難解なイメージがあった。
    本作は等身大の現代人が書いた作品であるためか、とても明快でシンプルに内容が伝わってくるのが良かった。
    現実とかけ離れた設定もスルリと理解でき、軽い筆致でテーマが表現されているのも好みだ。
    SFに興味がない人でも、本作なら気楽に読み進めることができるだろうなと思った。

  • 短編集であるが、表題作含め読み手の常識を揺さぶるプロットが心地よい。
    新鮮な驚きや感覚を与えてくれるものが多い一方で、いくつかは、平坦に感じる短編もあった。

    後半のあとがきも味わい深い。また作者による収録作解題を読んで、なるほどと思い各作品を2度楽しめた。

  • 短編集。意味不明な表題作も設定は理論整然のかっちりした話。リトルボーイが爆発しなかった1945年の広島の話、モンゴル帝国の天文学者の話、コロナ禍真っ只中の箱男の話などどれもそれぞれ映像作品にそのままなれる完成された設定の話。最高。

  • SF短編集

    SFっぽくないのもあったけど、総じて面白かった。

  •  

  • ふむ

  • ◆おすすめ度◆
    ・SF短編小説度:★★★
    ・シュールな展開度:★★★
    ・『箱』、実際に作ってますよね度:★★★★

    ◆感想◆
    表題作のシュールさと『令和二年の箱男』のリアリティが印象的。
    『箱』、実際に作ってます?
    あと、玉ねぎが嫌いなのが良くわかりました。
    著者自身の『収録作品解題』も、作品が生まれた背景などがわかって面白いですね。

  • 短編集。
    全て設定がいい。
    短編だともったいないと思うほど。
    文章も読みやすい。
    投げっぱなしエンドが多いけど、これはこれでアリなのかなと思える。
    でも、もう少し続くボーナストラック的なものがあっでもいいな。

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著者プロフィール

2016年、小説投稿サイト「カクヨム」に投稿した『横浜駅SF』が第1回カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞を受賞し、デビュー。著書に『重力アルケミック』『未来職安』『人間たちの話』『まず牛を球とします。』他。

「2022年 『SF作家の地球旅行記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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