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感想・レビュー・書評
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コンピュータが誕生してから今に至るまでの情報セキュリティの歴史を割と最近(2021年頃)まで網羅されている一冊で読みものとしてはとても面白かった。
情報セキュリティもまた戦いの歴史だった。もともと軍人しか使う想定のなかった点が情報セキュリティの今に繋がっていることや、一般の人と情報セキュリティの関係性、ハッカーや国家の関わり方など、信頼や信用、人の欲望や利害関係など心理的な面との絡まり合って、技術的な面以外でも興味深い分野だと改めて認識した。
どんなに技術的な進化があったとしても人がそれに追いついてこなければ意味がないという事実を目の当たりにすると、これからの日本は本当に世界から置いてけぼりをくらいそうで不安を感じる。
3つの汚名
・データ漏えい
・国家によるコンピュータのハッキング
・認知的閉鎖
『現代において、歴史に関する知識を持たないことは大きな損失である。歴史はサンクコストではないのだ。』詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
情報セキュリティについて、過去なにがあったのか、それぞれの参加者がどういうことを考えてきたのかについてストーリーが語られている。全体的な流れを把握することができる。
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・黎明期から今に至るまでセキュリティの防御側が不利。
・パスワード覚えられない問題に解決策はないのか→やはり無かった。
・生身の人間のセキュリティを高めるにはどうすればいいのだろうか。 -
【ソフトウェアが「アンブレイカブル」であるためには、その中にバグが含まれていないことが必要だが、ほぼすべてのソフトウェアにバグが含まれていることは、ソフトウェア開発における最も基本的な理解なのだ】(文中より引用)
近年特に注目を集める情報セキュリティの分野。これまでの取組や経緯をたどりながら、どのようにして今日のセキュリティ環境に至ったかを確認する作品です。著者は、投資銀行幹部を務めるアンドリュー・スチュワート。訳者は、外資系コンサルなどでの勤務経験を持つ小林啓倫。原題は、『A Vulnerable System: The History of Information Security in the Computer Age』。
コンピュータやインターネットの成り立ちの段階からセキュリティのあり方がどう捉えられてきたかを知ることにより、そもそも情報セキュリティと言ったときに何を望むことができるかを確認することができる有益な一冊。新しい分野ではありますが、急速にその歩みを進めている点も把握することができました。
著名な賞を獲得したことも頷ける一冊☆5つ -
「第9章 情報セキュリティの厄介な本質」がとても面白く、かつ、セキュリティ産業に身を置く者なら誰しも身につまされる思いがすると思う。この章だけ読んでもいいと思うが、1〜8章まででこれまでの「敗北史」が克明に語られているので、それらを味わってから読むとより意義深く感じられる。
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てっきりね、インターネットでECサイトで脆弱性なあたりからかなーと軽い気持ちで読み始めたら、1943年のENIACから語りが始まって、そこからか、そうきたかと、いやそうきたかって私はウィキペディアの何かのページで知ったかこいた程度ですけど、1943年を創世期として、2020年あたりまでの目ぼしい出来事を、その背景情勢や歴史的意味合い、セキュリティ理論の変遷などなど語り倒していて、そういうのが好物な人にはぶっ刺さると思います。
紙面の3分の2くらいが本文で、残り3分の1が註釈。本文中のエピソードにいちいち出典がある。なんというか妄想垂れ流しで回収絶版になる偽書とは一線を画してる。 -
戦争に勝つには交渉力が必要であり、交渉力は相手に危害を加える能力からうまっれる。