高学歴親という病 (講談社+α新書) [Kindle]

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  • 講談社
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  • 本書は、本来は多くの知識を持って広い世界を知っているはずの、高学歴の親御さんが陥りがちな心理と生活に、鋭く切り込んだ本です。
    「高学歴親」の子育てリスクとして、まず「干渉」があると言います。子どもがやるべきことを先回りして、親がやってしまう。口出し、世話焼き。いかにもありそうです。
    そして、親が子に伝えたことと、実際のことが違う「矛盾」。
    さらに猫かわいがりしてあまやかす「溺愛」があるといいます。
    これは、別に高学歴親ではなくとも、どこの家庭でもありそうなお話です。
    それを、著者は、「育てられたように育てようとする高学歴親」と、ばっさりと切り捨てます。
    次に、「心配しすぎの高学歴親」として、「完璧主義」「虚栄心」「孤独」があり、子どもを信頼できないとしてます。
    これを著者は、親に認められる子どものパワーは、はるかに大きいものなのだから、子どもを信頼しろと言うのです。
    親が子を信頼すれば、善玉ストレスと主体性の力が子どもを成長させてくれるのだというのです。
    本書は、とにかく徹底した「上から目線」の本です。
    対象が「高学歴親」なのでしょうから、そのぐらいの強い態度で主張しないと、聞いてもらえないのかもしれません。
    また、著者は「高学歴親」をこうだ!と決めつけるように類型化しています。
    しかし、このような指摘はの数々は「高学歴親」ならば、全部ではなくとも、いくつかは誰しもが当てはまるものかもしれません。
    次に、傷つきやすい高学歴親として、子育てを、自分の人生に対するリベンジのようにとらえている親がいると言います。
    自分より良い学歴、良い人生をと、願うあまりに干渉・矛盾・溺愛を続けるというのです。
    その「リベンジ型」は、すぐに燃え尽きると指摘しています。何かがうまくいかず、こころがポキッと折れた時だれにも頼れない、これではレジリエンス(回復力)を発揮できないというのです。
    高学歴親子はレジリエンス(回復力)が低いのだとここでもバッサリと言い切ります。
    読んでいると、思わず「あるある」と言いたくなりますし、ドラマの悪役を見ているかのように小気味よいのですが、言われる方はたまったものではないですね。
    このように「高学歴親」がテーマの本が出るのは、現在の社会的背景があると思いました。
    現在の「格差社会」「低成長社会」「競争社会」の一断面を知ることができる本ですね。このような社会からは、その反動として「高学歴親の病」が生まれてしまうのだと思います。
    小生のように、子育てがずいぶん以前に終わっている人間でしたら、冷静に客観的に見られるのでしょうけど、今子育て中の方には耳の痛い話かと思います。
    しかし、現実の実態なのでしょう。
    厳しい世の中になってしまったなとため息をつく思いを持ちました。
    本書は、実態を赤裸々に突き付けた本だと思いました。

  • 高学歴親という病。成田 奈緒子先生の著書。高学歴親が子供をだめにしてしまう。高学歴親が子供を苦しめる。高学歴親が子育てに失敗する。よく見聞きするお話。でもそれって本当なのかなと疑問に思う。低学歴親が子供をだめにしてしまう。低学歴親が子供を苦しめる。低学歴親が子育てに失敗する。そういうことだって少なくないと思うから。高学歴親という病もあれば低学歴親という病もある。高学歴親は子供に高学歴を求めることが多いのだろうけれど高学歴親の子供が自分の意志で高学歴になることだって多いだろうし。

  • 私、たいした高学歴ではないですが、わかります。
    自分が無しえなかったことを、子どもに期待する。
    早期教育も、一応しました。

    まあ…早寝早起きが大切、テレビは見せない、家族の役割として手伝いをさせる、それでなんとかなったかな。
    今、子ども達は25歳と20歳。スマホは、高校生まで持たせませんでした。子ども達は苦労したとは思います。
    「人は人、家は家!」を徹底しましたが、はっきり言って、難しいですよ。変わった親に見えたと思います。

    あとは、親がお尻を叩いても、子どもがそんなに素直に従うわけでもなく、ずば抜けて天才的な能力を持っていたわけでもないので…。


    私自身が田舎(北海道)育ちなので、中学で塾に通うののですら、違和感がありました。夜10時まで塾って…おかしくない?埼玉出身の夫は、首都圏では当たり前と。
    なので、中学受験で小学生から夜遅くまで勉強させるのは、全く考えられません。おかしくなりますよ。


    P139に、書かれていた「起立性調節障害」。
    子どもの高校の部活の友達にいました。結局、出席日数が足りず、高校は退学、通信制高校に転校しました。
    当時、初めて聞くので、調べた時には、対策する精神科なども出てきました。でも、精神的な病気なので仕方がないのかな的な感じでした。他のママ友も、最近多いよね、中学の友達にもいたよ、と話していたのです。
    その時、私は、昔(私が子どもの頃)だったら、親が、子どもを布団から引きずり出して、学校に行きなさい!って、蹴とばしていたのでは?と思っていたんです。ある意味、それが正解ですよね。
    この本によると、規則正しい生活…朝起きて、活動して、暗くなったら寝る。それで、直る病気なんですね。
    成人式に、高校を退学した子が来ていたそうなので、なんとかなったのかな。

  • 高学歴な親ほど子育てに悩むらしい。著者は「子育て科学アクシス」を運営する医師であり、相談に訪れる子どもの問題(不安障害や不登校など)について、親の子への関わり方にその原因があると分析。

    ●高学歴親に多い干渉、矛盾、溺愛
    干渉は口出ししすぎ、世話を焼きすぎることで、子どもの自立心を奪っていく。
    矛盾は、親の言動が子どもから見ると矛盾に感じてしまうこと。例えば、不登校の子どもをいたわる言葉(学校へは行かなくて良い)をかける一方で、社会的な体裁を守りたい本音(学校へは行け)が透けて見えてしまっている場合。これは子どもの心を不安定にする。
    溺愛は、過度に甘やかすこと。聡明な親は子どもが失敗する可能性を見通せてしまうため、転ばぬ先の杖を用意してしまう。これは、親がいつまでも自分を信頼してくれない、という思いにつながる。

    ●自分が育てられたように育てようとする
    高学歴な親には生存者バイアスがあり、何らかの苦しみを乗り越えた自身の感覚を基準として判断してしまう。狭い視野で子どもと向き合うと、今の時代を生きる子どもはこの親の感覚についていけず、精神的に追い詰められてしまうことがある。

    ●ママが素敵すぎて病んでしまう
    親が完璧に何でもこなしてしまう姿を見せ続けることで、親みたいに「なりたい」という願望が、本人も気づかないうちに「ならなければ」という強迫観念に変わり、子どもを苦しめることがある。あなたのために親は頑張っているのだから、あなたも頑張って、というエールは、子どもからすればファイトの押し付け。

    ●リベンジ型の子そだて
    ある程度の年齢までは、一生懸命伴走してくれる親に感謝する。親が絶対的な存在だから。ただし、子どもが思春期に入り、親ができなかったことを自分にやらせたいと思っていることに気づいた途端、「身代わりにされている」と感じ、感謝は憎悪に変わる。

    前頭葉がしっかり動くのは10歳以降。からだの脳(生きること)→お利口さんの脳(言葉、勉強、スポーツ)→心の脳(社会での成功)という順番で成長していくことを理解し、まずはからだの脳をしっかり育てることが大前提。これがないと、学習や社会性を身につける段階になったときに子どもが体や心に不調をきたす。
    そして、からだの脳を育てるには、「早寝早起き、朝ごはん」。

    ーー
     著者が接してきた高学歴親は、競争を好み、リジリエンスが低く、他人へ甘えるのが苦手で、世間体を気にする人が多いのだという。そして、これらの性質を有する親が子どもへの接し方を誤ると、育児を通じて子どもを追い詰め、子どもの問題行動として出てくることがありうると。つまりは問題は親、と言っていることには凄みがある。
     リベンジ型の親について、子どもがある程度の年齢にいけば、親が自分のことを棚に上げていることに気づき、反発心を覚えるというのは想像に難くない。最高の教育は、まず「親が背中で示すこと」だというのもどこかで読んだことがある。
     一方で、親が自分がしてもらった(させられた)ことを子どもにもしてあげよう(させよう)とすること、仕事も家庭も一生懸命頑張る母親であろうとすることは、親としても、良かれと思ってやっていることなのだろう(ここで出てきた事例はオーガニック手料理にこだわる母親、という少し変わった例だったけれど。)。いざ子どもの問題行動がでてきたときにも、親側としては何故、という思いが強いのではと思う。善意の押しつけ(指示)や干渉は、どこまでが良くてどこからはだめなのかは難しいけれど、子どもにとっては「親が自分を信用してくれない」というメッセージにもなりうると肝に銘じておいたほうが良いなと思った。
     自分では「そうはなりたくないし、ならないはず」と今は思っていても、育児期間は長く、子どもが成長するに連れて問題のレベルが上がっていくと聞くし、実際には自分がこのような接し方をしてしまっているということもありうるな、と思う。子どもをよく観察して異変に早めに気づいてあげられること、その上で、子どもの問題と決めつけず、自分の子どもへの接し方をも見直す習慣が大事なのかもと思った。
     まあ、わたしはそんなに頑張り屋ではないので「ママが素敵すぎて」と言われることなどないと思うけれども。
     まず子どもが幼いうちは「からだの脳を育てる」「早寝早起き朝ごはん」は、すでに心がけていることだった。教育的な取り組みが始まる年齢になっても、その順番を間違えない(例えば睡眠や心をケアする時間を削ってまで習い事をさせるなど焦らない)ことは、この先もずっと心がけたい。

  • 子育てについて、示唆にとんだ話だったし、読みやすくて面白かったね。からだの脳、おりこう脳、こころの脳という三段階の分け方というのは、わかりやすいね。脳には育つ順番があるんだから、いきなりおりこう脳から育てようとすると、あとでしっぺ返しをくいますよ、って。著者の経験や、自分のもったケース等から具体例もみせてくれて、わかりやすかった。

  • 子育ては脳育て。そして脳育てには順番がある。寝る起きる食べるの生活の基本を何より大事にすることこそが健やかな子育てという自論を、臨床経験と科学的根拠を踏まえて著者が確信を持って説明しているので、このままでいいんだ、とものすごい安心した。

  • とにかく【早寝早起き朝ごはん】が何より大事だと書かれていた。とにもかくにも【生活リズム】!これがどんな早期教育よりも大切と。
    本当に耳が痛い。日々ワンオペで、子どもを9時までに寝かせることは、私にとっては本当に本当に大変です。。。改めて、生活リズムを整えることに意識を集中したいと思いました。

    ★夕食の開始時刻は、毎日夜7時にすること。
    ★21時までに寝ること。
    →5歳児は、11時間寝かせること。小学生になったら、9時に寝て、朝6時に起床する
    。朝ごはんを食べること。睡眠は何より大切!
    ★食事中のテレビ視聴はやめる(五感を働かせて食べられない)
    →就寝前の1時間は、5歳を過ぎても視聴させない。
    ★子どもに対し【役割分担】をさせる。役割分担≠お手伝い
    ★子どもには、成功談より失敗談を語る。
    ★睡眠時間 9〜11時間。スマホ・タブレット・ゲーム利用は1日2時間未満。

  • まあ、そんなに得るところはなかったかなあ。
    子育てって難しい。本当に答えはないよね。いろいろと思うところはあるけれど、元気が1番だなあ。

  • 1時間ほどで読める。いわゆる育児how toに近い。いま感想を書くために何が書いてあったか思い出したいけどあまり心に残ってるフレーズなどは、、ないかなぁ。
    とにかく子供への期待値は低く低く。これが大切だなと。あとは親の権威を使わない。

  • 著者の経験に基づくエピソードは興味深い 自分や身の回りの経験にとも矛盾はなく、面白おかしく読める

    ただ、なんとなくテレビの情報番組を見ているような薄っぺらさを感じる
    バックボーンが著者の経験だけのように読めるからだと思う

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著者プロフィール

成田奈緒子(なりた・なおこ)

発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。

「2023年 『改訂新装版 子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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