教育は遺伝に勝てるか? (朝日新書) [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • 今日叱りすぎちゃったなぁとか、この育て方であってるのかなぁとか、いつも神経質に考えすぎていたかもと思える、心が軽くなる本でした!
    もちろん教育と最低限悪影響のない(虐待とかがない)環境を与えることは大事だけど、子供は子供なりに与えられた環境に対してその子なりに反応してくれるとわかりました。

  • 結論、教育は遺伝には勝てない
    親が教育に熱を入れてもそれが与える影響は数%
    親が高収入で子供に多様な環境を用意するだけ、遺伝の素養が強く出る

    それよりも、子どもの「好き」を大切にすること

  • 子を育てるにあたりいろいろ考えることが多いので読んでみました。以前読んだ本に似てるな…と思いつつ読了。内容は理解したものの、「ではどうするか」まであるとよかったなあ。

  • 一卵性双生児(ほぼ100%遺伝子が同じ)と二卵性双生児(遺伝子は50%同じ)
    さらに一緒に育ったふたご、別々に育ったふたごの組み合わせで様々な項目に関して比較調査する。

    身体、知能(IQ)、性格、依存症、病気など、ほとんどは遺伝子で決まる。
    遺伝子がどのように発現するのかはランダム
    子どもの身長は親の身長を中心に分布する(正規分布?)。
    そのため身長の高い親から身長の低い子どもが産まれることもあれば逆もある。
    確率的には、親の身長が高ければ子どもの身長も高い。知能なども同様。

    育児書では、親が子どもに「勉強しなさい」と言わない方が良いとあるが、これは因果関係が逆
    親が「勉強しなさい」と言うことを我慢すると成績が上がるのでなく、そもそも成績が良いので、親はわざわざ「勉強しなさい」と言わない。
    遺伝的に同程度であれば「勉強しなさい」と言われている子供の方が成績は良い。

    また、たたいたりしないと言うのも同じ。
    虐待までいくとダメだが、しつけの範囲内で「しつけ」をされている子どもの方が成績は良い。

    ただし、親が期待するほど子どもは影響を受けない。
    過度の教育で親も子どもも疲弊するよりは、子どもへの投資は最小限にして、自分の人生を充実させる方にエネルギーを注いだ方が良い。
    人生を楽しんでいる親を見ている方が、子どもにとっても幸せだろう。
    家庭環境の影響など、遺伝子が与える影響と比較したら微々たるものなのだ。

  • Kindleで購入。

    行動遺伝学やふたご研究というものを初めて知った。
    科学って再現性とか比較実験があってこそだし、東大生を育てる育児法って結局n=1でしかない体験談で遺伝のおかげでは?みたいな疑念があった。でも証明もできないしな…と思っていた。けど、この一卵性双生児と二卵性双生児を比較して研究するというのは説得力がある。
    これが環境要因で、これは遺伝によるもの、と示してくれる。(ただ、表の見方はあまりピンと来ず読み流した)

    本はメンデルの研究のあらためての紹介から始まるので優しい。遺伝がいかにランダムかを復習できる。
    個人的な理解では、一卵性双生児へのマバタキの実験、意識すれば遺伝の影響は抑えられるけど無意識の行動は制御できない、というのがわかりやすかった。
    だから誰がなんの職業についても良い、自由で公正な社会では遺伝子によって貧富の格差が生まれてしまうというのは面白い視点。平等とはなんだろう。

    親として子供にしてやれることは僅かで、気負わず、その子の特性を見て、遺伝子の発現が社会により良く適用しやすい形を一緒に模索してあげる、というのが良いのかもしれない。

  • 遺伝が50%環境が30%程度
    遺伝は教育を打ち負かすほどは強くなく、教育なしに遺伝は姿を現せない。遺伝をこの世の中で形にしてくれるのが教育。

  • 遺伝と環境というのはずっと関心があり、双子研究に興味深々。題名はまるで中身を表していない。教育と遺伝は勝負するような関係にはない。我々が思った以上に遺伝が学力に関係しているということ。東大理Ⅲに必ず合格できる育て方など存在しない。もともとの能力に違いがある。当たり前のこと。

  • 面白かった。事例紹介を読むのが楽しかった。
    結局ほぼ遺伝で決まるのだなぁという虚無感。運命ってあらかじめ結構決まってるのかしら

  • 教育は遺伝の影響も大きいが環境によるところが大きい…と思っていた。思っていたが、本書はそうではない、ということを、双子の研究事例を中心に突きつけてくる。
    もちろん、遺伝というのは、そのまま親から何かを引き継ぐものではなく、親に似ない、というのも遺伝の一つの現れ方だ。だから、親がこうだから子がこう、ということは決めつけられない。
    けれど、双子が、たとえ違う環境に置かれていても、そっくりな選択をし、そっくりな結果になることが多い、という例を見せられると、やはり遺伝の影響は大きいのだ、と言わざるを得ない。
    とはいえ、遺伝は、どういうことに向いているとか、興味があるとか、そういうことに大きく影響するけれど、生まれた時からリトマス試験紙が反応する色を知っているわけじゃあない。
    だからもちろん、教育だって大事なんだ。そして、遺伝なんて、生まれたあとでは、もうどうしようもないわけだから、遺伝のことは忘れて、目の前のことを頑張って生き抜けばいいんだ。
    そういうことに気付けることが、結構な価値じゃないかなあ。

  • ふむ

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著者プロフィール

慶應義塾大学文学部教授
主要著作・論文:『生まれが9割の世界をどう生きるか―遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』(SBクリエイティブ,2022年),『なぜヒトは学ぶのか―教育を生物学的に考える』(講談社,2018年),『遺伝と環境の心理学―人間行動遺伝学入門』(培風館,2014年)など

「2023年 『教育の起源を探る 進化と文化の視点から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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