ナイフをひねれば ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫) [Kindle]

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  • 英国の小説家アンソニー・ホロヴィッツの「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズ第4弾「ナイフをひねれば(THE TWIST OF A KNIFE)」読了。

    このシリーズは、作者のアンソニー・ホロヴィッツ自身がワトソン役として小説内に登場する探偵物。探偵役は、元刑事で現在探偵をやっているダニエル・ホーソーン(こちらは架空の人物)。

    作中で、ホーソーンの伝記執筆の契約は3作品ということになっていて、この小説は、契約を延ばそうとするホーソーンに対して、ホロヴィッツが契約延長はしない!と宣告するところから始まる(とかいって、この小説自体が4作目なわけですからね、うまく決別できなかったってことが最初からわかるわけなんですが 笑)。

    自身のことを全く語ろうとしない謎多きホーソーンに嫌気がさしていたホロヴィッツだったのだけど、なんと、直後にホロヴィッツ自身が殺人容疑で勾留される、という大事件によって、決別したはずのホーソーンに頼らざるを得ない状況に!

    証拠不十分で釈放されている間にホーソーンと共に、真犯人を探し当てなくてはならない、見つけ出せなければホロヴィッツが殺人犯として起訴されてしまう!というハラハラドキドキのお話でした。

    舞台は舞台。
    (※物語の設定(舞台)は、ホロヴィッツが脚本を書いた演劇作品(舞台)ってことw)。

    ホロヴィッツ自身、舞台の脚本をいくつも手がけているらしく、相変わらず、本当の自分の仕事と、作中の自身の仕事がクロスオーバーしていて、ホロヴィッツファンとしては、へー、そんな仕事もしているのかー、といろいろな情報を得られて面白い。作中ではホーソーンシリーズ第2作目を執筆中で、第1作目の「メインテーマは殺人」が高評価を得ている、という話も。

    ところで、シリーズ4作目、英国で発表された時から題名が気になっていました。
    今までの3作は

    ・THE WORD IS MURDER(メインテーマは殺人)
    ・THE SENTENCE IS DEATH(その裁きは死)
    ・A LINE TO KILL(殺しへのライン)

    「WORD」「SENTENCE」「LINE」と、文法用語を使ったタイトル。
    なのに、4作目は「THE TWIST OF A KNIFE」。

    文法用語、が、ない???

    それについても作中でホロヴィッツ自身が指摘していて、4作目以降を書こうと思っても、もう文法用語がネタ切れだから、4作目は書けないんだ、的な。

    作者による、それ以上の言及はなかったのだけれど、解説の三橋曉さんの推測では、「嫌なことを思い出させる、古傷に触れる」という意味の慣用句に「twist the knife」というのがあるらしく、それをもじっているのでは、と。

    確かに、今まで小出しにされてきたホーソーンの過去がある程度まで明かされるシーンが出てきていたし、ホロヴィッツの過去についても触れられたくない失敗などもちらほらと。

    作中のホロヴィッツは、ホーソーンと出版エージェントに丸め込まれて、残り4作を書くという契約をさせられているので、このシリーズ、あと3作は続く、ということのようです(現実と虚構を一致させるならばw)。

    少しずつ明かされていくホーソーンの人物像が、少しずつ暴かれていくことになるんでしょうか。楽しみです。


    ドラマの脚本家としてのホロヴィッツのファンとしては、もちろん面白い小説だったのですが、事件が起こるまでがちょっとまったりしていたことと、作者自身が殺人犯であったり、殺人犯として起訴されて投獄される、というのは考えにくい、というバイアスがかかっているので、ストーリーの「ハラハラ度合い」としてはちょっとマイナスかな、というところで、星4つ、ってところ。

  • 毎回、ニヤニヤ笑いながら読まずにはいられない、トニーとホーソーンの物語。今作も相変わらず、巻末の解説にある通り〝付かず離れずの距離で事件と取り組むおかしな二人の活躍″が楽しめる。殺人の容疑者となってしまい、涙こそ堪えているものの、今にも泣き出しそうなトニーに「生涯かけて作り話を書きつづけているやつの話をどうして信じなきゃあならない?」と言い放つホーソーン。それでいて、トニーの容疑を晴らすため奔走する。酷い言われ方をされながら、自分の無実を証明出来るのはホーソーンをおいて他にはいないと頼りにするトニー。かくして、めでたしめでたし。さてさて、今後の続編で、ホーソーンの過去が明らかにされ、二人が真の友と呼べる間柄になっていけるかどうか?!期待大である。

  • 元刑事ホーソン&作家ホロヴィッツシリーズ第4弾。
    ネタ不足なのかどうかホロヴィッツ脚本戯曲初日に辛辣な記事を書いた女性評論家が翌朝刺殺されホロヴィッツ自身が逮捕勾留されてしまう。なんとか保釈されたが残された48時間。時間内に犯人まで辿り着くことは出来るのか。まだまだシリーズは続くようです

  • ホーソーンシリーズ。作者が登場してワトソン役をするのだけど、殺されかけたりして痛い役回り。今回は、容疑者として拘束され起訴寸前の状態で、DNA解析の遅れ(計画的)の2日間で挽回を図る緊張感高まる展開ですこぶる面白かった。
    ボードヴィルにかかった自分の芝居を酷評した評論家が刺殺された事件で、張り巡らされた伏線が大変活きていて、犯人当てというよりかは、伏線を含んだドラマをしっかり描くことで、読み手が十分満足できる良い作品。
    ホーソーンは相変わらず塩対応だが、ツンデレとも言えるので、このコンビも長く続く予感。おすすめ。

  • ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第4弾。
    悪辣な事しか書かない劇評家ハリエットが自宅で殺害されて、今度はホロヴィッツ自身が殺人犯の容疑者にされてしまう。毎回、彼は酷い目に遭っているなあ。犯人については、最後まで分からなかったが、あんまりびっくりしなかった。良く考えれば似たような背格好は彼しかいないし。ホロヴィッツも言っていたが、犯人の境遇が可哀想で、そこに救済が何もなかったこと、金に任せて大人たちが少年を追い込んだことに、何もお咎めがなかったことはスッキリしない。
    全体的には劇場が舞台で、クリスティっぽいが、それなら残りの登場人物のこれからも、書ききってほしかった。例えば、プロデューサーは破産したんだろうなと思うけど。

  • 作者≒ワトソン役のミステリーシリーズ。一冊ごとの謎はスッキリ解決。シリーズの謎の探偵の過去が気になる。

  • 2024.05.02
    このシリーズの良さは「トニー」が良い意味でマヌケに描かれていることにある。
    読者は「トニー」と同じ立場にたって、ヒヤヒヤし、もどかしい思いをし、ゴールにたどりついたときはほっとする。
    本作も楽しく読んだ。

  • ホーソーン、ホロビッツシリーズ第4弾。

    今回もホーゾンによって事件を解決。
    ただその事件の容疑者として、ホロビッツが警察に捕まってしまう。
    なんとか釈放されるも容疑者の最有力候補として真犯人を見つけないと捕まってしまうという状況の中、ホーソーンと共に推理を続けていく。

    シリーズを通じての謎というべきホーゾーンの謎の一端が少し明らかになった。
    ホーソーンの言う半分だけ血の繋がった兄弟が登場するのである。

    犯人あての小説してはそれほどパンチの効いたものではなかったが、毎回の事件解決より、ホーソーンの謎がこれからどうなっていくのかが楽しみなシリーズである。

  • 2023年9月8日 発売! 犯人を当てるという内容よりは・・・。
    ※私はダンガンロンパが好きで現在ミステリー本を読み漁ってます。
    【ストーリーはいいが、欠点は・・・】
    今もっとも熱いミステリー作家といえば、
    アンソニー・ホロヴィッツ!

    代表作のカササギ等を読むか、最新作を読むか。
    というわけで最新作の『ナイフをひねれば』を購入。

    ホロヴィッツとホーソーンの掛け合いも不快にならない、
    ちょうど良い距離感。

    ただ、自分の考えたミステリーとは違うタイプで、
    ノートに『証拠・証言等』をまとめて犯人を探す。

    タイプではない・・・かなぁ。といった感じです。

    現実的に考えて無理じゃん!とか言われても、奇怪なトリック含め全て
    伏線回収されるミステリーを探していたため、
    あまり刺さらなかったかも。。

    ただ、他のアンソニー・ホロヴィッツ作品は、明確に
    "犯人当て"とあらすじで紹介されていましたので
    他の本も読んでみたいです。

  • <ネタバレあり>

    作者が殺人犯として警察に追われるというのがなかなかユニークだけど、犯人になるわけではないんですね。そこまで過激ではない。

    作者がもらったおもちゃの短剣で、それに彼の髪の毛までついて劇評家が殺される。罪を逃れるにはホーソーンに犯人を見つけてもらうしかない。

    もらった短剣で殺されていることから犯人は団員の中の一人ということになる。でまぁ昔のことがばらされることを怖れた人が犯人で、ひどい劇評を書いて怒ってる役者に罪を着せようとして、人違いして作者になってしまう。役者が貸したタオルで作者が汗をふいたり、適当にとった短剣が作者のものだったりずいぶんとご都合主義の展開でがっかりな一作。

    ひねりがほぼなくて、意外性皆無。作者と探偵の関係だけが面白い。これではベスト1はムリと思う。

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著者プロフィール

Anthony Horowitz
イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K. Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。


「2022年 『ホロヴィッツ ホラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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