斜陽 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 17
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感想・レビュー・書評

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  • 読んだ日にちちゃんと覚えてない。 主人公が休憩中本を読んでるとこが好き

  • すごく良かった。良くないんだけど。良かった。言葉遣いとか描写のしかたとかがとても耽美というか退廃的な感じがしてうっとりした。

  • 貴族が絶滅危惧種のころ。
    親は生粋の貴族だけど自分達の世代にもはや貴族としての道はない、でも下々になじめない。
    そんな世代の話。

    弟部分を読むと人間失格に近い。本物の上品な人にはなれず、下卑たまねをしてみてもごっこでしかない。
    自分の持たされた幸運にノブレスオブリージュな使い道を見つけられない悲劇。

    が、語り手かず子の部分になると途端にサイコホラーじみて面白い。
    メリバ感が「ずっとお城で暮らしてる」を思い起こさせる。

    かず子たちは本格的に傾く前から与えられたものを消費するだけのおままごとみたいな暮らしをしてる。
    だから自分として生きようとしてもごっこにしかならなくてもがく。
    狭い世界で暮らしているから、たったひとつの気まぐれによる思い出が人生を賭けるほどの宝ものになってしまう。
    自分探しの空回りが姉と弟でこうも真逆になるのが面白い。


    メモ:一緒に読みたい
    チェーホフ『桜の園』
    宮澤賢治『銀河鉄道の夜』
    アンデルセン『もみの木』
    シャーリィ・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』

  • (戦後の華族の苦労が描写された例として紹介されているのを読んで、そういえば読んでなかったなと思い読了。この観点はさほど重要ではない。)
    若い (20代後半の) 主人公の家庭は貴族であり、敗戦後やや生活が苦しくなった家族の敗戦後の暮らしを主人公の視点で叙述し、主人公や弟の心情変化、人生観を描く。戦後実家に戻り、母親の死、既婚者への恋を経験した主人公の感情の描写や、下品であることを夢見て果てには自殺した弟の文章は、心動かされ涙を誘うもので、流石だった。

  • そんな、おまえ調子乗り過ぎの金持ちのバカじゃろうが、と言いたくなる瞬間もあるけどね。しかし段々と可愛そうになるというか、同情もしてくる。そこがやつらの狙いか。
    しかし貴族ってのは今どきはいるのか知らんけど、一般人との感覚の違いがわかる貴重な小説なんではないか。作者の妄想かもしれんが。
    というわけで、一番印象に残ったのは、姉さんと連呼する弟。まさか北の国からのルーツがこんなところにあるとは。。。

  • 29の女を、娘でも老婆でもなく、それらしくかける男、太宰治恐ろしい。
    次々読めてしまう。

    ですが、このモデルになった女性の日記を参考に書いた部分や、櫻の園からの影響など、創作と実生活と独自性ということについて考えるところもある。

  • 大戦までの日本を呑み込んだブラックホール 
    呑みこまれる直前の、
    今は無き日本の物語

  • 主人公は一度自分を落ちるところまで落としてからじゃないと頑張れない人だと感じる。弟もあえて自分を落としているが、主人公の不倫する行動力・将来への前向きさとは対照的なのは男女の差なのか…。

  • かず子を語り手に据えながらも、登場人物たちの群像劇としての側面も持つ面白い作品だと思われる。
    多方面からお薦めされただけのことはあり、これは読んでみてよかった。

    余談。
    ヴィヨンの妻がそれほど自分に響かなかった経験を持つので、同じ作家の作品でもここまで印象が変わるとは思わず、とてもよい経験になった。

  • ななめ読みの感じで読み始めたが後半から引き込まれて、一気に読んでしまった。言葉表現が繊細で、なまめかしい。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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