- 青空文庫 ・電子書籍
感想・レビュー・書評
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すごく良かった。良くないんだけど。良かった。言葉遣いとか描写のしかたとかがとても耽美というか退廃的な感じがしてうっとりした。
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貴族が絶滅危惧種のころ。
親は生粋の貴族だけど自分達の世代にもはや貴族としての道はない、でも下々になじめない。
そんな世代の話。
弟部分を読むと人間失格に近い。本物の上品な人にはなれず、下卑たまねをしてみてもごっこでしかない。
自分の持たされた幸運にノブレスオブリージュな使い道を見つけられない悲劇。
が、語り手かず子の部分になると途端にサイコホラーじみて面白い。
メリバ感が「ずっとお城で暮らしてる」を思い起こさせる。
かず子たちは本格的に傾く前から与えられたものを消費するだけのおままごとみたいな暮らしをしてる。
だから自分として生きようとしてもごっこにしかならなくてもがく。
狭い世界で暮らしているから、たったひとつの気まぐれによる思い出が人生を賭けるほどの宝ものになってしまう。
自分探しの空回りが姉と弟でこうも真逆になるのが面白い。
メモ:一緒に読みたい
チェーホフ『桜の園』
宮澤賢治『銀河鉄道の夜』
アンデルセン『もみの木』
シャーリィ・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』 -
そんな、おまえ調子乗り過ぎの金持ちのバカじゃろうが、と言いたくなる瞬間もあるけどね。しかし段々と可愛そうになるというか、同情もしてくる。そこがやつらの狙いか。
しかし貴族ってのは今どきはいるのか知らんけど、一般人との感覚の違いがわかる貴重な小説なんではないか。作者の妄想かもしれんが。
というわけで、一番印象に残ったのは、姉さんと連呼する弟。まさか北の国からのルーツがこんなところにあるとは。。。 -
29の女を、娘でも老婆でもなく、それらしくかける男、太宰治恐ろしい。
次々読めてしまう。
ですが、このモデルになった女性の日記を参考に書いた部分や、櫻の園からの影響など、創作と実生活と独自性ということについて考えるところもある。 -
大戦までの日本を呑み込んだブラックホール
呑みこまれる直前の、
今は無き日本の物語 -
かず子を語り手に据えながらも、登場人物たちの群像劇としての側面も持つ面白い作品だと思われる。
多方面からお薦めされただけのことはあり、これは読んでみてよかった。
余談。
ヴィヨンの妻がそれほど自分に響かなかった経験を持つので、同じ作家の作品でもここまで印象が変わるとは思わず、とてもよい経験になった。 -
ななめ読みの感じで読み始めたが後半から引き込まれて、一気に読んでしまった。言葉表現が繊細で、なまめかしい。