死者の国 (ハヤカワ・ミステリ 1944)

  • 早川書房 (2019年6月6日発売)
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本棚登録 : 189
感想 : 25

あらすじ
 両頬を耳まで切り裂かれ、喉には石を詰められたストリッパーの死体が見つかり、第二の殺人も起こる。捜査するのはコルトのチーム。今は猟奇的な妻との離婚訴訟中だ。被害者二人は同じ劇場で働き、その関係者として画家がいた。彼は元受刑者で、二人と交際していたらしい。さらに、被害者たちを描いた絵も見つかり、画家は裁判にかけられる。弁護するのはやり手の女性弁護士。コルトは彼女に惹かれながらも画家の他に犯人がいるのかと戸惑う。

 ハヤカワのポケットミステリ-で、分厚い、長編。初めて読む作者。映画の「クリムゾンリバー」が好きだったので読む。初めのうち、残忍な殺され方や、コルソ夫婦のゆがんだ生活、SMビデオ?などの描写にちょっと引いて、「この変態ワールドについていけるかな。」とひやひやしながら読む。でも、第3部、裁判のシーンからがらりと雰囲気が変わった。法廷ミステリー、心理ミステリー、芸術ミステリーといろんな要素を見せる。しかも緻密に作られていて読みやすい。最後はコルソにまつわる内容もびっくりしたし、SMについても理由はあって、扇情的な内容だけではなかった。ラストも希望が見えたのはよい。とにかくいろいろ気持ちよく振り回された作品で、今のところ今年一番のびっくり。まだ春だけど。
 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: フランスの作品
感想投稿日 : 2020年4月7日
読了日 : 2020年4月7日
本棚登録日 : 2020年4月7日

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