中学の頃、かなり一世を風靡して、これ持って樹海で自殺したワカモノなんか出て
ザ・ワイドで毎日批判してたものだったが、私にとっては最高の娯楽。
鶴見なる東大出身の作者のこだわりが余すところなく発揮されている。素晴らしい。
単に読み物としても、ケース・スタディは充実しているし、
まず「本当に自殺したい人のための本」という軸がぶれないのがいい。
自殺は是か非か、そこを問う本ならいくらでもあるのだ。そこが画期的だった。
樹海に住むという坊主、生活保護にも疲れ、抱き合って餓死した姉妹、
親族にやられつづけ叔父の庭で焼死した中学生の女子、青函トンネルの線路内で
轢死した女性、薬を飲み自分の死の直前まで記録をつけつづけた青年…
犯罪は一様に美化できないが、自殺はドラマであると思う。そこには学ぶものよりも多く、
感じ入る、だれにも真似できない物語がある。この本はそれを淡々とつづる。
「ぼくの知人に、エンジェルダストという、飲むとわけわかんなくなって飛び降りでも平気でできちゃうドラッグを、いつも首からさげているやつがいる。
いざとなったらこれ飲んで死んじゃえばいいんだから、と、定職にもつかずぶらぶらしている。
この本が、あなたにとってのエンジェルダストになればいい」(記憶あいまい)
という前記の作者の記述が、すべてをあらわしている、と思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2009年2月26日
- 読了日 : 2009年2月26日
- 本棚登録日 : 2009年2月26日
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