藤沢周平、初読み。一見うだつの上がらない主人公だが実は剣豪で、様々な危機に立ち向かう8編の短編集。
各話の主役、登場時はことごとくぱっとしない。ごますりだのだんまりだの日和見だの、何だかさえない。勿論それには理由があるのだが、そんな彼らが藩の分裂や汚職でもつれた人間関係等、事件に巻き込まれるたび見せてくれる見事な剣の腕前。その場面が本当に素晴らしい!どの話もワンパターンぽくはあるのだが、今度はどんな風に活躍してくれるのか?とだんだんワクワクしてくる。勿論、巻き込まれる事件も巻き込まれ方も話によって少しずつ変えているし、時には苦々しい思いをする場面もあり。メリハリのきいた起承転結と物語の痛快さは、流石である!
江戸が舞台とはいえ、組織の軋轢や男女の複雑な心模様が他人事とは思えず、それはいつの時代も変わらないものよの、と思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の作家
- 感想投稿日 : 2022年5月23日
- 読了日 : 2022年5月23日
- 本棚登録日 : 2022年3月1日
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