ソロモンの偽証: 第Ⅲ部 法廷 下巻 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2014年10月28日発売)
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これまでの布石をどう回収するのかわくわくする。
柏木卓也の内面を誰がどのように捉え、自殺か他殺かを解していく。なぜ他校生である神原和彦は弁護人としてやってきたのか?藤野涼子はどこまで気づいているのか?弁護人助手である野田健一は神原和彦に対してどんな役割なのか?

証人として呼ばれた本物の弁護士が密室の故意について触れた時は、ドキリとした。
殺意がどんな時に生まれてくるのか、その一端が宮部みゆきさんなりの解釈で描写されている点には共感できた。

ミステリーとして、物語として、非常によく構成されていると感じた作品だった。話す内容や態度は中学生らしく無い面もあるが、それは問題ではないと思う。学校や中学生の保護者であること、中学生が直面している悩みにスポットを当てることに意味があったと思うのである。

題名のソロモンの偽証とはなにかが明かされていく。それぞれの想いが、相手を思いやる気持ちが吐露される中で明確になる。偽証であることを認めることによって一歩踏み出すことができる。

最後に彼らの将来が描かれている。少し意外に思ったが、それはそれで現実的なのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宮部みゆき
感想投稿日 : 2023年6月4日
読了日 : 2023年6月4日
本棚登録日 : 2023年6月3日

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