中学生のときたしか友達に借りて読んだ。
好きだったNEWSの手越くんが主演で映画になっているから、という軽い気持ちで読んだらとんでもない小説で、脳を金槌で殴られたような衝撃がはしったのをよく記憶している。13歳の頭で、生きるってなんなのか?と必死に考え思い悩んだ。
孤高、という言葉もこの小説で覚えた。徹夫が教えてくれたすこし難しくて誇り高い言葉。
孤独と、孤立と、孤高。シュウジも、徹夫も、エリも。
にんげんはみんな「ひとり」なんだと、もしかしたら私はそのとき初めて知ったのかもしれない。教室の中でたくさんの同級生にかこまれていても拭えなかった違和感、居心地の悪さ、多分そういったものの正体に気付いた瞬間だった。
「ひとり」は寂しいけれど、でもみんな「ひとり」と「ひとり」と「ひとり」が集まっているだけなら大丈夫だと思ったし、だったら自分はエリのように在ろうと誓った。13歳だった。
ゆうに15年過ぎた今でも、ちっとも損なわれずに甦るそのときの衝撃と決意の鮮やかさが眩しい。
当時はアカネというおんなが得体の知れない恐ろしいもののように感じていたけれど、私もずいぶん大人になった今では彼女の気持ちにもだいぶ寄り添うことができるようになった気がする。
徹頭徹尾、どこまでも重苦しくて暗い。この世には〈浜〉と〈沖〉しか無くなってしまったのかと錯覚する閉塞感に息が苦しくなる。
でも神父さんが祈るのと同じように、穴ぼこの瞳になってしまったシュウジにどうか生きていてほしいと、強く、強く願わずにはいられない。
とにかく下巻がはやく読みたい。
- 感想投稿日 : 2020年7月23日
- 読了日 : 2020年7月22日
- 本棚登録日 : 2020年7月22日
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