ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

  • 新潮社 (1974年12月24日発売)
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感想 : 607
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バナナフィッシュにうってつけの日が読みたくて。
行儀悪くたくさんバナナを食べすぎて、バナナ穴から外へ出られなくなるバナナフィッシュ。彼らはそのままバナナ熱にかかって死んでしまう。とても示唆に満ちた話だ。
このナイン・ストーリーズにおさめられている9つの話はどれも取るに足らないような、でもそこには見えない何かが含まれているような不思議な読後感を残す。
最後の話であるテディでは、とても哲学的で賢いテディという少年が出てくる。アダムとイブがエデンの園で食べた林檎のなかに入っていたのは論理だというテディ。アダムとイブは論理なんか食べるべきではなかったと。私たちも同様にいつも論理的であろうとするから、物をあるがままには見たがらず、物事には終わりがあるものだと思ってしまう。
こうやって感想をまとめようとしてる今、なんだかそれはバナナフィッシュに似ているような気がしている。バナナフィッシュと、リンゴ食いの連中である私たち。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(海外)
感想投稿日 : 2020年5月15日
読了日 : 2020年5月1日
本棚登録日 : 2020年5月1日

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コメント 5件

naonaonao16gさんのコメント
2020/05/15

はじめまして!
突然コメント失礼しますm(_ _)m

実は今日、アニメのバナナフィッシュを見ていたら、こちらの作品が作中に出てきて、あまりの偶然の衝撃に思わずコメントしてしまいました!

サリンジャー、ライ麦しか読んだことないので、この偶然の賜物と、つづきさんのレビューを参考に、読んでみようと思いました!ありがとうございました!
突然失礼致しましたm(_ _)m

つづきさんのコメント
2020/05/15

はじめまして、コメントとフォローありがとうございます。
それはすごい偶然ですね!私もそういう偶然が起きると何かの啓示のような気がして、よく読書のきっかけにしています。
ライ麦もいいですよね〜大好きな小説です(๑˃̵ᴗ˂̵)

naonaonao16gさんのコメント
2020/05/15

こちらこそありがとうございます!

そして、まだ途中ではあるのですが、バナナフィッシュの1話が「バナナフィッシュにうってつけの日」、最終話が「ライ麦畑でつかまえて」だったような気がします。
なので、レビューの冒頭にも驚いてしまいました!

とはいえ、サリンジャー難しいんですよねー(汗)

つづきさんのコメント
2020/05/16

そうなんですね!私もバナナフィッシュというアニメが気になってきたので機会があればみてみますw

私は村上春樹さんが好きなので、サリンジャーも村上春樹訳がきっかけで読むようになりました。
抽象的な部分が多くて難しいところもありますが、無理に読み解こうとせずに自分に置き換えられる部分だけ掬い取って読んでいくと楽しめたのでぜひ!感想楽しみにしています♪

naonaonao16gさんのコメント
2020/05/16

バナナフィッシュはAmazonプライムで観られますので是非(笑)

わたしも以前村上はるきさん大好きでよく読んでました!そしてその時に、わたしも彼の翻訳でライ麦を読みました。かなり前なのですっかり忘れてしまっていますが(泣)
自分に置き換えられる部分だけ掬いとる、というのは、とても分かりやすくて素敵な表現ですね。
翻訳に苦労しがちなので、そんなふうに読んでいきたいです✧︎ありがとうございます!

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