何とも嫌な予感しかしない展開にドキドキ。
主要人物の中学生達には少年少女らしい楽観は無い。それぞれが複雑な感情を抱き、それを形容できず、吐き出せず、無力感や喪失感に包まれている。溢れる憎悪から、復讐を企てる者がいて、そこから始まる嘘がある。
登場人物は多め。彼らの性格や行動がハッキリとしているので話には付いていけているはず......
展開が全く読めない状態で一部上巻は終了。物語は始まったばかり。偽証というタイトルなだけに、嘘が嘘を呼び、無実の人物たちが巻き込まれていく展開になるのだろうか。
ゆっくり読みたい。次巻へ。
以下、ネタバレ有り(備忘録)。
クリスマスの日。学校内で柏木卓也が亡くなったいるのが発見される。死因は自殺か。
中学二年生。複数の男女の視点で物語は進行する。自己嫌悪や他者への憎悪。優越感と劣等感。思春期を過ごす、それぞれの子供たちは、同級生の死をきっかけに、何かを思い、感じ、行動する。
小林修造老人が見かけたのは、電話ボックスにいた男の子。少年の様子がおかしかったので、お節介にも小林は声をかけた。男の子は大丈夫と断り去った。そして最後に振り返った。小林は彼を引き留めて話を聞くべきだったと感じた。あの男の子は、どこの誰だったのだろう。
藤野涼子は優秀な学生だった。妹二人に刑事の父、仕事に励む母。そんな母に理想の女性像を重ね、自らを戒める涼子。だが、自分の心の底にある感情に気づいている。何かが欠けているのだろうか。同級生が死んだのに、涙を流さない私はおかしいのだろうか。図書館で男に絡まれているところを、野田健一に救われて、少し男の子に対して浮かれる気持ちが芽生えるがすぐ冷めている。
野田健一は柏木卓也の遺体を発見した生徒。
涼子と同じクラス。病んでいる母と、忙しい父と暮らしている。病的な母の世話や行動に嫌気が指し自由を欲する。その気持ちを汲まない父にも苛立つ。そして両親を殺すことを考え始める。図書館で毒物の本を読んでいるところを見られている。
大出俊次、井口充、橋田祐太郎は大出を中心とした三中の不良仲間。柏木卓也の死に関わっている可能性があるとされている。過去に三宅樹里のことをニキビ顔という理由で虐めている。
三宅樹里は柏木卓也をきっかけに、犯人を目撃したという匿名の告発状を学校、藤野涼子、担任の森内恵美子に送っている。過去に大出俊次たちに虐められていた恨みを晴らすために、報復として告発状に彼らの名前を書いている。人気者の藤野涼子のことも憎んでいる。
友人の松子のことを内心では見下しながらも、心の拠り所のようにして利用している。
浅井松子は三宅樹里の友人であり理解者。優しい性格だが鈍感なところがあり太っている。
佐々木礼子は少年課で、本件の担当刑事。
森内恵美子は主要人物たちのクラスで担任を受け持っている教師。独身でスタイルも良い女性。一部の生徒からは人気だが、その反面、目立たない生徒を見下すような一面を持ち合わせている。告発状は彼女に届かず、隣人に盗まれている。
垣内美奈絵は森内教員の部屋の隣に住む女性。夫から別れを告げられるが、それを拒んだまま夫の持っている部屋で暮らしている。夫は出ていき、離婚を求め続けている。夫の不倫の末に捨てられた女として、悲観に暮れ、部屋を訪れた夫に縋りついた際に、隣に住む森内に出くわし、森内の笑みを浮かべた表情を見て、劣等感からくる憎悪をむき出しにする。そして三宅樹里の出した告発状を森内のポストから盗み取り、内容を確認して興奮している。
他にも登場人物はいるがとりあえずメモからは割愛。
次巻へ進む。
- 感想投稿日 : 2021年12月16日
- 読了日 : 2021年12月16日
- 本棚登録日 : 2021年11月30日
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