ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2017年2月19日発売)
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感想 : 41
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書店大賞の授賞式の1日を時間単位で本屋大賞ではなく書店大賞としているのは、書店ミステリの誇張、或いはリンクなのだろうか。(と、細かいことが気になる)

書店大賞授賞式の朝、成風堂の「書店の杏子と多絵の元に福岡の「はちまん書店」の佐々木花乃が訪ねてきた。飛梅書店から書店大賞実行委員会に送付されてくるFAX。

『だれが「本」を殺すのか』犯人は君たちの中にいる 飛梅書店

金沢にある飛梅書店は八年前に店長が書店大賞の当日に亡くなり、閉店をしている。なぜ、このタイミングでこの奇怪なFAXを誰が何の目的で送付されてきたのかを明らかにして解決をしたいと言う。

今回も長編。本当は長編の方が好みではあるのだが、前回の「晩夏に捧ぐ」よりどちらかと言うとその前の短編集「配達赤ずきん」、「サイン会はいかが」が印象的だったので、どんなもだろうと思いながら、また、まだ読んでいない「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」とのコラボだったこともあり、テンション低めに読み始める。(だったら、井辻智紀のシリーズが届くのを待てばいいのに、なんて言われながら…)
テンション低めからでも、本作は短編のほんわか感は、残しながらもちゃんとミステリ小説になっていたこともあり、楽しくは読めたものの、覆面作家の謎、奇怪FAXの謎、深町の謎の繋がり感が少し細く感じ、やっぱり短編の展開の方が好みであると考察する。
でも、井辻智紀を読んでいたらもっとテンション高めから開始できたかもしれないので、もしかしたら、もっとハマったかもしれないとも思う。

事件解決までが1日と言うのが映画なら面白いのだが、小説となると間延び感がある。井辻智紀との関係が本当にこんなものなのだろうかとか、犯人の江口があまり頭が良さそうに感じないこととか、犯人が江口であること自体にも、また深町の悩みや多絵が花乃に飛梅書店の元バイトかを小平に聞いて欲しいと言ったことなど、ところどころ『あれ?』とか『ふぅぅん…』と、気になるところはある。

毎回書店に関する描写があるが、本作は本屋大賞のことであったので先月の本屋大賞を回想しタイミング的にその裏舞台に新たな関心、知識を持てたと思うことができた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月1日
読了日 : 2021年5月1日
本棚登録日 : 2021年5月1日

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