模倣犯2 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年11月26日発売)
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本棚登録 : 8543
感想 : 386
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Audibleで読みました。
1巻は事件の全体像で、2巻からは犯行の背景が語られ、同じ事件をなぞりながらさらに一段掘り下げられていきます。こんな仕掛け初めてでワクワク。その奥底にはきっと作者の言いたいことが待っているんだろうな、と期待を込めて読んでいます。また思っていたよりはグロくなくて助かりました。

さて2巻では犯人や周囲の人の心情、生い立ち、育ってきた環境や抱えている問題などなど繊細な内面の描写が、まるで彫金アートかのごとく精緻に描き込まれています。
Audibleなので良かったけれど、これが文字だとかなりタフそう。
敢えて一言で言えば愛着障害によって承認欲求モンスターと化してしまった犯人が、どこをどう転んでこんなんなっちゃったのか、というビルドアップが実況されるわけですが、その端々になぜ女性を狙うのか、とか精神病(時代に即して敢えて)なら何でも許されるのか、とかバブル崩壊当時のニュースな問題が見え隠れしている気がしました。
そして、そろそろ気になるタイトルの模倣犯とは…?

関係ありませんが、まさかその後リーマンショックやコロナショックやら新たな社会転換が起こるとは…などとつい思いを巡らせてしまいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月15日
読了日 : 2023年3月15日
本棚登録日 : 2023年3月13日

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