Audibleで読みました。
この巻で女性殺害事件の犯人サイドの動機が判明し、時系列もつながってスッキリ。
これほどまでに登場人物に細かな設定を与える宮部みゆきという人の深奥な作家性が窺えます。ここまでの設定を作りこんでおいて、どの巻のどのタイミングでどれを出すのか、を構成するなんて自分に対するサディスティックなおしおきにしか思えません。
さて、てっきりサイコパスかと思いきや実はサイコパスの2世で愛着障害を抱えていた犯人の、狂おしいまでの葛藤がまぁ痛々しいことこの上なしです。もちろん共感はしませんがひょっとして彼も被害者なの⁉︎なんて読んでしまったら作者の思う壷のように思えます。
当然、家族全員を惨殺された過去を持つ塚田真一とのコントラストも考えさせられる要素の一つかと思います。結局のところ、犯人は選んでその道を手繰ってきた、ということかと思います。まるで不幸な偶然の積み重ねのようでいて、間違いなく節々に意図した選択を行なった結果として、最大級に不幸な今日に至っているということです。裏を返せば、巻末の走馬灯は、それぞれに逆のあるいは異なる選択肢もあったのだ、と作者は言いたかったのではないでしょうか。良い選択をしましょう、的な。
次巻以降は真一と、ルポライターの前畑の動きが語られていないので気になります。にしても一体何が模倣犯なのか。もしや気づいてないのは自分だけなのか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月15日
- 読了日 : 2023年3月15日
- 本棚登録日 : 2023年3月13日
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