100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

著者 :
  • 講談社 (1977年10月19日発売)
4.22
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本棚登録 : 10822
感想 : 1383

この本はブクログや姉に贈るにあたって前情報が頭にありました。
姉にはもちろん新品を贈ったが、金欠なので私は行きつけとなったコミュニティの図書館で読む(笑)
余談だが、今はカーリル https://calil.jp/ というサイトがあって事前に蔵書があるか確認できるのです。おや、書評やまとめも作成できるとは。ブクログに負けず劣らずですね。

読んでみるとなかなかに切ない。
100万回生きそしてあっさりと死んでいくとらねこ。何度も繰り返された生死。しかもそれは退屈な。

100万と1回目(?)にしてただ一匹の猫としての生を受けます。
ずーっと何をするにも「大嫌い」だった彼は自分のことが大好きになりました。
しがらみもなく、また男として100万回をくぐり抜けた勲章を手にしたからでしょうか。
マドンナのしろねこに語って聞かせます。でもクールビューティのしろねこはなんだか退屈そう。
それからとらねことしろねこは結ばれます。
そして突然の別れからとらねこは愛を見つけます。自分以外のものへの愛です。
釈迦は輪廻転生を繰り返し、悟りを開きました。悟りを開くと二度と転生することはありませんでした。
転生を繰り返した囚人ねこは、他者を愛することで、もう生まれ変わる輪廻から出ることとなりました。愛という悟り、いや大切な気づきを得たのですから。

この絵本で著者は「慈愛」のメッセージを読者へ伝えたかったのではないでしょうか。
子供が、自分以外の他者を認めはじめた時に、愛を持って接せるように。大人が他者に無頓着にならないように。

ねこのように、他者へ、愛を伝えたくなりますね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年5月12日
読了日 : 2018年5月11日
本棚登録日 : 2018年5月11日

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コメント 2件

5552さんのコメント
2018/05/13

夜型読書人さん、こんばんは。

去年のクリスマスくらいにこの本を読んでから半年余り。
懐かしいなあ、と思いながらレビューを拝見させていただきました。

未知の本のレビューを読むのも楽しいのですが、読んだことのある本を思い出しながら他の方の見解を知るのもまた格別です(^-^)

夜型読書人さんのレビューの
‘子供が、自分以外の他者を認めた時に、愛を持って接せるように。大人が他者に無頓着にならないように’という言葉にはハッとさせられました。

ついつい無頓着になりがちですから。

コメント書きながら読みかえしてみたんですが、やはり素敵な、自分にとって大事なお話なんだなと思いました。

それでは、お邪魔しました(^-^)/

夜型さんのコメント
2018/05/13

こんにちは
5552さんのコメントに感謝いたします。
そうですね、読んでいてうーんと考えてしまいました。
とても子供向けとは思えない文学性を持った作品なのですもの。
私の見解にそのように言っていただけて嬉しいです。
またいつでもいらしてください。

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