最後の20ページで評価がガラリと変わった物語。
読了後は昔中学校で習った魯迅の故郷に近い感覚。
ピノチェト独裁政権時のチリの混乱ぶりが窺える。合法的な手段で政権を握った共産主義勢力の増長を防ごうと国軍が軍事クーデターを起こし、そのまま軍が独裁者となってしまう……という、全然フィクションと感じないような話。本作は精霊とか超能力とか予知とかオカルト的なものが度々登場するが、前述した絶望的な歴史を中和する作用があるようにおもえる。この小説はノンフィクションというジャンルではないが、このようなオカルト的なものが登場することによってかえって、描かれてある地主と農民の関係であったり、歴史であったりがノンフィクションのように思えて仕方がない。
上下合わせて約800ページと長く、序盤中盤は正直言ってグダグダな話の進み方で中々ページを進めることができないでいたが、終盤(特に選挙が始まったあたり)から夢中になって読んでしまった。この本は全人類に勧めたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年7月21日
- 読了日 : 2021年7月21日
- 本棚登録日 : 2021年7月10日
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