Eテレでやっている『ヨーコさんの‘言葉’』が結構好きでテレビをつけてやっていたりするとよく聞いていたりする。聞くとザワザワしていた心がシンとしてフラットに戻れる気がするからだ。
そのヨーコさんのいわずとしれた代表作がこの絵本。
高校生の時買って、数年後弟に借りパクされてから(職場に持ってって共有スペースに置いておいたら誰か持ってっちゃったらしい)数十年。
他のブクログユーザーさんのレビューを読んだら、どうしてもまた読みたくなってしまい買ってしまいました。
今日届いたので早速読んでみました。
前と変わらないシンプルな装丁なので懐かしさで一杯になる。
前は「ちょっと絵柄がワイルドすぎて好みではない」と思っていたヨーコさんの絵がとんでもなく素敵にみえる。
昔読んだ本で、宮台真司さん?が「あれって囚人服だよね」と書いていたのを思いだし、この本の意味がちょっとわかった気がする。勘違いかもだけど。
誰も愛さないことは罪。
生まれ変わるのは罰。
自分も他人も愛せないからまた‘生まれて’‘死んで’しまうのだ。
ヨーコさんのこの絵本には仏教的思想がベースにある、というのも聞いたことがある。
仏教に明るくないのでよく分かんないんですが。
おはなしの内容ですが、まず何度も繰り返される「猫は○○なんか、大嫌いでした」の言葉に胸が切なくなる。なんで大嫌いだったんだろう。死んだら泣いてくれるのに。‘誰か’のものである猫生なんていらない、と思っていたんだろうか。
理由はないのだろうか。
百万回目にようやく‘誰のものでもない自分’になり自分を愛することを知る。
自分に自信がある立派な猫なのでモテモテになるが、‘自分‘が一番好きなので他猫を愛することができない。
「おれは100万回もしんだんだぜ。いまさらおっかしくて」
そこに現れたのが白いねこ。
とらねこの自慢に見向きもしない。
その白ねこの態度がまた天然?小悪魔(笑)
必要最小限の言葉と行動で自分大好きっこのとらねこの心を奪ってしまう。
とらねこの「そばにいてもいいかい」は最強のプロポーズの言葉ですね。素直で押し付けがましくなく本当に心から出た言葉って感じがする。
そしてラスト。
白ねこが死んで100万回も泣いたとらねこは後を追うように死んでしまい、‘もう生まれなく’なってしまう。
とらねこは‘罪’を許されたのだ。
百万回も生きたのに、本当に「生きた」のは最後の一回だけだったんでしょうね。
輪廻転生とか信じてないんですが、この絵本のおはなしにはグッとくるものがあります。
今度は死ぬまで手元に置こう(笑)
- 感想投稿日 : 2017年12月23日
- 読了日 : 2017年12月23日
- 本棚登録日 : 2017年12月23日
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