時代背景と戦禍に翻弄されながら、自分を貫いた4人の女性の生き方が短編連作で綴られています。時代背景となる男尊女卑思想、貧困、身分の格差の抗えない理不尽や運不運が根底に流れています。自分の意志ではなく、妾・芸者・女中に身を落とした女性たち、そしてたまたま高貴な身分の家庭に生まれたものの親からの温かさを受け取れず、人を信頼できずに育った女性それぞれの哀しさに心が重なります。強い諦念や背徳感がありながらも、自分の情動を選んだ女性たちの選択に何か豊かさと強さを感じます。「花宵道中」と並んでこういう作品、好きです。
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- 感想投稿日 : 2019年1月22日
- 読了日 : 2018年4月11日
- 本棚登録日 : 2019年1月22日
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