今年の新潮100冊②
いきなり酔っぱらいに絡まれて 長々と身上話を読まされることになったときは どうしようかと思ったが、母からの手紙くらいからスルスル読めた。
名前迷子にさえ 気をつければ、難解そうにみえてむしろ面白く読める。
(急に名前が明かされたザミョートフが一体誰なのか確信がもてず、長いことページをいったり来たりした)
ラスコーリニコフが老婆を殺したのは、彼なりに崇高な理由があったからかもしれないが、リザヴェータまで手にかけたのは ただの保身。
罪を犯す前から苦しみに苛まれ、人並み以上の慈悲心をもつ彼は、立派な「凡人」。
上巻のうちに自殺するんじゃないかと危ぶんでいたけれど、途中 いきなり生きる活力がみなぎりだして驚いた。
純粋無垢なソーニャの力なのか。
彼は最終的には病死とかしそう。
リアル悪夢をみすぎだし、気を失いすぎ。
考えていることや やることがいきなりバカになって、それに対して一人ツッコミしてたりして、かなり面白い人間なんだけど。
そしてわたしは、知らず知らずナーバスになっているのか、妹ドゥーネチカの結婚話に特別 心惹かれた。
「あのひとがわたしの人格を認めて、尊敬してくれるという確信がなかったら、わたしは結婚しない。
あのひとを尊敬できるということが、確実に信じられなかったら、わたしは結婚しない」
相手を尊敬できるかどうかって、その人との関係性の持続にかかわる かなり重要な感情だと思う。
尊敬できるかは、信じる信じないではなく、今現在できるかできないかなので、ドゥーネチカは絶対にルージン氏と結婚しないほうがいい(笑)
ルージン氏の言うことではなく、行動をみれば、彼がドゥーネチカを大事にしていないことは明白。
妹の結婚をバッサリ反対する兄の愛に、なにやら感動した。
ラズミーヒンの好感度も、急上昇した。
彼女のためなら、彼はこれから何でもやるのでは?
というか、実際にやってるし。
こーいう人と結婚しなさい。
- 感想投稿日 : 2023年8月2日
- 読了日 : 2023年8月1日
- 本棚登録日 : 2023年7月8日
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