罪と罰〈下〉 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1987年6月9日発売)
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今年の新潮100冊③

スヴィドリガイロフに、心ぜんぶ もっていかれた。
「アルカージイ・イワーノヴィチ・スヴィドリガイロフです、よろしく」
この 上巻の引きがよかった。
誰だよ!? って、最初はすぐに思い出せなかったのだけど、それも含めて登場の仕方が抜群。
ルージン氏が笑っちゃうくらい底の浅い人物だったのに比べて、スヴィドリガイロフの奥深さといったら!!
彼の最後の悪夢は、わたしのなかでは最早この作品のクライマックス。
ドストエフスキー=悪夢。
彼の右に出るものはいないのでは。
(たしか「カラマーゾフ」でも印象的な悪夢描写があったきがする)
悪霊の描写も、変にリアリティーがあった。
とにかくあの悪夢には…スヴィドリガイロフの内面や背景だけでなく、ドストエフスキーの履歴まで考えさせられて震えた。
ここだけでも5回以上読んだ。(え…)

次点ハイライトはポルフィーリーの3度目の長広舌。
やっぱり傑作には、主人公以外にも輝くキャラがたくさんいる。
最後に大逆転する論調に、スッとしてしまった。
ごめんね、ラスコーリニコフ…

とはいえラスコーリニコフにも、最後まで驚かされた。
自殺や病死どころか、まさか最終的に愛に目覚める人生になるなんて!!
なんて羨ましいんだ!←
罪を罪とも思わない考えがどうなったのかは、正直よくわからなかった。
この一週間、かなり繰り返し読んで、そのたびに新たな気づきがあるけど、まだまだ読み足りない感じ。

筋違いだけど、ナポレオンの歴史小説を読みたくなった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ロシア
感想投稿日 : 2023年8月7日
読了日 : 2023年8月5日
本棚登録日 : 2023年7月8日

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