風の歌を聴け (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年9月15日発売)
3.48
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本棚登録 : 23097
感想 : 1956
3

うん!村上春樹だ!

がっつりネタバレですので、ご注意を。



青春ですね。
鼠シリーズ第一弾!

「ジェイズ・バー」とか海辺とか、洋書や洋楽が出てくるので海外を想像して読んでいたら「10円」というワードが出てきて、日本なんだと知った(^▽^;)

登場人物の名前が一切出てこなくて、主人公は「僕」友人は「鼠」というあだ名。

帰省している間に起こった出来事を綴っている。

調べてみたら、芦屋市(本当かは不明)らしい…。
がっつり日本でした笑

バーで酔い潰れていた女を部屋に送り、彼女の部屋で朝まで過ごす。彼女、なぜか裸だよ(-_-;)

その彼女との距離が近づいてくる様子や、鼠との出会い、過去に付き合った3人の彼女との思い出等が綴られた青春小説だ。

小さい頃無口だった主人公が、通っていた精神科医に言われた言葉。

ーーーーー

文明とは伝達である。と彼は言った。もし何かを表現できないなら、それは存在しないのも同じだ。いいかい、ゼロだ。もし君のお腹が空いていたとするね。君は「お腹が空いています。」と一言しゃべればいい。僕は君にクッキーをあげる。食べていいよ。(僕はクッキーをひとつつまんだ。)君が何もいわないとクッキーは無い。(医者は意地悪そうにクッキーの皿をテーブルの下に隠した。)ゼロだ。わかるね?
(本文より)

ーーーーー

その後の立ち回りは置いとく。
だが、言いたいことは分かるし「文明である」というのも頷ける。
人間たらしめるものの教えを子供に分かりやすく説明しているのかな。

ーーーーー

伝達する事がなくなった時、文明は終わる。パチン……OFF。
(本文より)

ーーーーー

須藤古都離さんの『ゴリラ裁判の日』を先日読みました。
ゴリラと人間の大きな違いは、言葉を話すか話さないか。分かりやすい。文明の違いです。まんま(^▽^;)

冒頭に、

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完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
(本文より)

ーーーーー

という言葉が出てきたので、意思を伝えることが人間であるという部分が本筋なのかなと思ったりもして。

あと、1番共感できた所がありまして…。
鼠が考えた小説の内容。大まかなあらすじは…

男の乗っていた船が太平洋の真ん中で沈没する。
浮き輪につかまって漂っていると、同じように浮き輪に捕まった女が泳いでくる。
2人は世間話やビールを飲む。
2人はこれからどうするかを話し合う。
女は島がありそうな方へ泳いでいく。
男はその場に浮かんでビールを飲んで助けを待つ。
女は2日2晩泳ぎつづけてどこかの島にたどりつく。
男は二日酔いのまま飛行機に救助される。
何年か後に、2人は偶然再会する。

再会云々はさておき、どちらの選択が正しかったのかは、決して誰にも分からない。人生の如きテーマだと。昔からの心のモヤであります。

それがさらっと書かれていました笑
抜粋する人なんて私くらい?笑笑
もっと違うとこ注目しろと言われそうですが、ここが私がいいと思った所なんです。

しかし、この会話が生きる内容が後に出てくるのかな?と思って読みましたが、そのまま何もなく終了…。
えっ…?ひょっとして、その彼女が、指の欠けた彼女だったりする?
だから鼠は元気なくて、彼女は堕胎していて、鼠の小説にはセックス・シーンがない(やってあたり前だから)のかな…?

そうだったとしても、匂わせがちっさすぎて分からんよ…(-_-;)

村上春樹小説は『ノルウェイの森』と、この作品しか読んでいませんが、どんな話だった?と聞かれると、そう言えば、何を言いたかったのだろう…と考えてしまう。
平凡な日常と友情と青春。ですかね。

おそらく私は、日本語の勉強不足なのだと思います。
美しい文章だと絶賛されている箇所がどこなのかさっぱりわかりませんでしたし、アメリカンジョーク風のウケ狙いやカタカナ並べた小洒落感も鼻につく。

そうだ!きっとビーチ・ボーイズの『カリフォルニア・ガールズ』をオマージュした話に違いない!と思い、歌詞も読んでみたが…
『あらゆる素敵な女の子がカリフォルニアに来ればいいのに…』的な?
カリフォルニア・ガールズで謎が増えた…(^▽^;)

テレフォン・リクエストのラジオDJのしゃっくり「ムッ」は、ウケました(*´艸`)
あのDJは好きです笑笑
Tシャツのイラストも、かわいい。

しかし、何を隠そう、1番好きなのはデレク・ハートフィールドですがね。
主人公は、ハートフィールドで文章についてを学んだらしい。(不毛な作家)文章は読み辛く、ストーリーは出鱈目。
なぜ彼を選んだ?(-_-;)

1938年6月、ヒトラーの肖像画を抱え、左手に傘をさしてエンパイア・ステート・ビルの屋上から飛び降りた。
ぶっ飛んでます。いいキャラしてる。
そして、一切話題にならないという救われなさ笑

ハートフィールドの作品は「火星の井戸」はSF?のようで、哲学的で、しかも意味がわからない。風が何を学んだのか、彼はなぜ引き金を引いたのか、私には謎のままだ。病んでる…?


ーーーーー

あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。
僕たちはそんなふうにして生きている。
(本文より)

ーーーーー

タイトルはこの意味なのかな?

私も村上春樹を風のように通り過ぎていいですかね笑

意味不明なセックス・シーンがない分『ノルウェイの森』より好きです。

3作全部読んだら意味わかるのかな…。
村上春樹があまり理解できていない私は、少数派のようです。笑



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月17日
読了日 : 2023年7月17日
本棚登録日 : 2023年7月17日

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