新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫) (文春文庫 し 1-105)

著者 :
  • 文藝春秋 (2003年3月10日発売)
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感想 : 425
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(一)(ニ)が主に吉田松陰、(三)(四)は高杉晋作の物語です。何より自分が影響を受けたのは「革命」の本質を鋭く描き出していることです。幕末にわき上がった志士というニ流三流の手合いが大騒ぎをし、西郷、桂などの一流は冷静に構え暗殺などの手を使わない。
信長、秀吉、家康のように、初めは革新的な人物が革命を起こすが倒れる。次にそれを引き継ぐ人物が現れる。しかしこれも倒れ、二流の凡庸な人物が引き継いで新たな時代が開かれていく。歴史はこの繰り返しである。
また、思想とは本来硬質で柔軟とは程遠い。思想を手にしたものは、すごい力を得たように感じ、行動が飛躍してしまう。二流、三流の手合いであり、一流はそうではない。
このような歴史の教訓を伝えながら、幕末というダイナミックな時代、とりわけ魅力的な松陰、高杉を扱っているのでとにかく面白くて仕方ありませんでした。
長州藩が幕府軍を破った、幕長戦争、絵堂の戦いや幕末の豪華キャストなど見所満載で、司馬遼太郎作品でも1・2を争うくらい好きな作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年4月21日
読了日 : 2021年2月1日
本棚登録日 : 2021年2月1日

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