新幹線という密室の中で繰り広げられる、殺し屋たちの駆け引き、戦い、洞察、腹の探りあい。傑作サスペンスだと思う。二時間半という時間軸のなかで目まぐるしく事態は変転していく。蜜柑に檸檬、蜂に木村、七尾、真莉亜それぞれの思惑がクロスオーバーし、ある時は手を組み、ある時は戦いと目が離せない高速バトルが続いていく。
個人的にはかつて読んだ「北斗の拳」まではいかずとも「ブラックエンジェルズ」が思い浮かんだ。それぞれのキャラが立っていて特に王子のふてぶてしさ、しぶとさは悪役としてはかなり輝いていた。まさにボスキャラ級の憎たらしさ。
日常を離れてこうしたハラハラドキドキに身をおけるのが本書のよいところ。
途切れることのないスピード感。新幹線という密室の中での闇闘、次々登場する強敵。一大エンタメだと思いました。井坂さんの人間に対する洞察や、古典文学からの引用が臨場感と説得力を与えているところも見逃せない。
「AX」も楽しみです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年10月9日
- 読了日 : 2023年10月9日
- 本棚登録日 : 2023年10月7日
みんなの感想をみる