2013年本屋大賞受賞作品
以前に読んだ「永遠の0」と似ているのだが、また一味違う読後感。
この作品も自分が今まで読んだ本の中で最上級の作品だと感じている。
出光の創始者である出光佐三さんがモデル。史実とフィクションが組み込まれながらの作品で凄く読み応えのある作品だった。
国岡鐵造の日本男子としての格好よさが終¹始作品に溢れている。その根底にあるのは人間尊重の精神。強く愛が含まれている。
こんな男になりたい、目指したい、なってみせたいと作中何回思った事か…
感想を書こうと思えば作中の様々な局面で幾らでも書けそうだが、つまるところはやはりどの場面でも「愛」だろうと感じる。
なかでも日田重太郎とのエピソードが最高に胸を打つ。友情とも愛情とも仲間ともなんとなく違い、精神上の繋がりという感じの関係性は言葉では言い表せない。そんな間柄の人は自分にはいない。
素直に羨ましかった。
作品とは違うが読後二人を調べてみれば年老いた日田さんが和装で椅子に座り、その後ろからスーツ姿の年老いた出光さんが日田さんの両肩から両手をまわしている写真を発見した。二人の少年のような笑顔で胸がいっぱいになった。
なんという写真だろうかと胸がつまる。
最後「仙厓和尚」の「双鶴画賛」に看取られて鐵造は息を引き取る。戦後生き抜く為に一度手放したが再び戻ってきた絵。
一方の鶴は国岡自身だろう、もう一方はと考えた。色濃い国岡の人生の中で当てはまる人物は幾らでもいる。それもそうだろうとも思うが、そのもう一方の鶴は日本という国にも感じられる。そうして考えてみると国岡だったはずの鶴は今を生きている自分たち日本人に向けている未来になっているのでは?とも感じられた。
士魂商才、自分も飲食店の店主として忘れないように、また何度でも読んでいこうと決意している。
- 感想投稿日 : 2023年9月21日
- 読了日 : 2023年9月21日
- 本棚登録日 : 2023年9月5日
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