本屋さんのダイアナ

著者 :
  • 新潮社 (2014年4月22日発売)
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現代の日本を舞台にした赤毛のアンだった。

大穴(ダイアナ)と彩子。
ダイアナは、彩子のようなシックな家に住んで「ほんもの」を愛す母親のいる女の子に憧れていた。ダイアナなんてイタイ名前は当然嫌いだった。水商売の母親も嫌い。
彩子は、ダイアナのようなドールハウスみたいなキラキラした家で、キラキラしたものに囲まれて住む女の子に憧れていた。彩子なんて古臭い名前は嫌いだったし、「ほんもの」という、地味なデザインの服や小物は魅力的に思えなかった。
お互い、自らの家庭環境を嫌い、相手を心の底から羨んでいた。

どちらの気持ちもわかるなぁと思いながら読んだ。
ダイアナは、名前や家庭環境にめげず、本屋で働きたいと真っ直ぐに進む。
彩子は、順調に女子校や名門大学に進学するが、両親にしっかり守られてきたことが仇となって、道を逸れ始める。

ダイアナの母のティアラは、実はしっかりとした家庭で育ち、薄っぺらいと思われてきた彼女にもいろいろ考えがあって、芯を貫いて生きてきた。
実は誰よりも、どの母よりもダイアナを、本当の意味で娘を大切に育ててきた。

呪いは自分でしか解くことができない。未来は自分自身で切り拓かなくてはいけない。

小さい頃仲の良かったダイアナと彩子は、成長するにつれて距離ができる。
だけど、それぞれで自らの呪いに立ち向かう。
どちらの人生も、そして2人の関係にも、希望が見える終わり方だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新潮社
感想投稿日 : 2021年3月27日
読了日 : 2021年3月27日
本棚登録日 : 2021年3月27日

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