目白雑録を読んで、「小説までこんなに一文一文脱線するとしたら、私の貧弱なおつむではついていけないかもしれない…」と不安になり、いざ本作を手に取ってみて、まさかしょっぱなから6ページにも及ぶ一文を読まされるとは思いませんでした…。
それはまあ、置いといて。
あとがきから読むんじゃなかったですよ…。
自分の書いたものについていちいち元ネタを説明したがるなんて、作者本人も自覚してるみたいですがナルシシズムの発露もいいとこです。
ジャン・ルノワール、ロラン・バルト、フランソワ・トリュフォー
からの出展、引用、オマージュ、コラージュ、パスティーシュ、エクリチュール…
そんなので埋め尽くされた小説です。
映画好きの女子大生がディレッタントを気取りたくて知ってることをいちいち小説に盛り込むくらいなら可愛いんですが、いい年こいたおばさんがそんなことしても衒学的なだけですよ。
しかも金井美恵子さんて「こんな事も知らないなんて、読者の方が頭悪い」みたいなスタンスっぽい(小説論では評論家に対してそういう態度でしたけど)ので余計にうんざり。
ここまで書いてそれでも「あとがきから読むんじゃなかった」と書いたのは、ネタばらしさえ読んでいなければ良い小説だったなぁ、と思うからなんです。
断片的なイメージが、あちこちに散って重なって歪んでいるところを最後にかけて収束していくところは、思わず眼が冴える程刺激的でした。
もう一回読んだらもっとたくさんの発見があるんだろうと思いますが、どうしようかな。
まさかここまで作品の良さがあとがきに邪魔されるとは思いませんでした。
12.02.06
- 感想投稿日 : 2012年2月7日
- 本棚登録日 : 2012年2月7日
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