カンガルー日和 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1986年10月15日発売)
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本棚登録 : 8085
感想 : 621
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①「オスマン・トルコ収税史の日記」は古トルコ語で書かれた難解な本だったが、不思議なことにスラスラ読むことができた。おまけに読んだページというのは隅から隅まで頭に記憶された。頭が良くなるというのは実に素敵な感覚だ、理解できないことは何ひとつない。脳みそをちゅうちゅうと吸われてもいいから、たとえ一ヶ月だけでも賢くなりたいと願う人々の気持ちもわからないでもなかった。

②村上春樹ライブラリーに行った時、「大学卒業後、自分が勉強好きなのに気づいた」とディスプレイボードにあった。これはこの作品にもその感覚が反映されているとおもう。知識の吸収を楽しむ、喜ぶ、というのは大切なことだ。

③七校でかりた。村上春樹を読むのは初めてだったけど、ジャズが好きで知識がスラスラ出てくる奇妙な文章はなぜか読みやすかった。短編全てが昨日の夢みたいなのもいい、ディティールが詰まりすぎてる感じも面白い。狂ってるだけじゃなくて人間の虚無感・脱力感などの言い表せない感情がシュールにまとめられてて腑に落ちていくのが流石です!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月10日
読了日 : 2022年11月10日
本棚登録日 : 2022年11月10日

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