十字架 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2012年12月14日発売)
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いじめを苦に自殺した中学生と、遺された者の物語。

遺書に名前を記されていたのは、いじめの主犯格2人と想いを寄せていた女の子、そして"親友"である主人公の真田裕の4人だった。裕は思った。一方的に親友にされた挙句、十字架を背負わされた、と。

十字架を"背負わされた"から"背負う"まで意識が変わるには、どれだけの苦悩があっただろう。

いじめは無くなることがなく、今でもニュースになる。
遺された者がどれだけの十字架を背負って生きていくのか、想像力をはたらかせてほしい。親になった今だからこそそう思う。


「親は、学校で起きたことをこの目で見るわけにはいかないんだよ。だから信じるしかないんだ。ウチの子は元気でやってる、毎日を幸せに過ごしてる……。だから親はみんな子どもに訊くんだ。学校どうだ?毎日楽しいか?って」

「心配するのは、親の仕事だ。子どもを信じるのも親の仕事だ。だったら、子どもが、学校は毎日楽しいよ、って言ったら信じるしかないだろ」

「人間って、死にたくなるほどつらい目に遭ったときに絶望するのかな。それとも、死にたくなるほどつらい目に遭って、それを誰にも助けてもらえないときに、絶望するのかな」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年4月2日
読了日 : 2022年4月2日
本棚登録日 : 2022年3月26日

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